優秀なナンバー1がいるのに潰れた会社はゴマンとあるが、優秀なナンバー2がいる会社で潰れたところはほとんどない。
解説
会社の命運は、トップである社長にかかっている。常に増収増益を頭に置いて目標を立て、戦略を練り、マネジメントのあり方を決定していく。こうした会社経営の根幹をなすような決断を下すのは、ナンバー1の仕事である。
だが、会社が成長できるかどうかのカギを握っているのは、トップではない。ナンバー2である。なぜなら、実際に社員を動かして目標や戦略を実行するのは、ナンバー2だからだ。
ナンバー1がいくら頭を絞り、目標を設定し、戦略を練っても、実行できなければ何の価値もない。だからこそ優秀なナンバー2が求められるのであり、その手腕に会社の発展がかかっているのである。
この意味で、ナンバー2は単なる補佐役ではなく、最高業務執行責任者(COO)だといえる。
社長の号令だけでは、人の心までは変えられない。社長の意図や目的、将来のビジョンをわかりやすく説明し、皆の気持ちをのせ、自らが社員の手本となって働く ―― 経営サイドと社員サイドの中間に立つ存在が必要になるのだ。
これがナンバー2の仕事、ミドルマネジメントの原点である。
編集部のコメント
潰れる会社は、何が原因で倒産するのでしょうか。
放漫経営? 戦略の誤り? 無能なトップ?
直接的な要因は様々ですが、そうした会社をよく観察すると、ある共通点があります。それは「優秀なナンバー2がいない」こと――。
優秀なナンバー2がいない会社はなぜ伸びないのか、その理由を解き明かした本が『No.2 理論 最も大切な成功法則』です。
著者は、日本におけるイメージトレーニング研究・指導のパイオニア、西田文郎氏。経営者やビジネスパーソンの能力開発指導に携わるほか、スポーツの分野でもメンタルトレーニング指導を行い、多くのトップアスリートを成功に導いています。
西田氏は、これまで主に「ナンバー1」について語ってきました。「TOPPOINTライブラリー」に要約を収録している、『ビジネスで、スポーツで、受験で、成功してしまう脳をつくる「ブレイントレーニング」 No.1理論』(1997年刊/現代書林)はその一例です。業界一、日本一といった大きな夢を持ち、そこに近づくにはどうしたらよいか。その方法を脳と心の法則に基づいて説いたこの書は、息の長いロングセラーとなっています。
そんな西田氏が、どうして「ナンバー2」を取り上げるのか。氏は『No.2 理論』のまえがきで、30年以上会社経営をアドバイスし、多種多様な企業を観察するうちに、経営の根本原則ともいうべき重大な経験則が見えてきたと語っています。その経験則とは、「優秀なナンバー1がいるのに潰れた会社はゴマンとあるが、優秀なナンバー2がいる会社で潰れたところはほとんどない」ということ。つまり、会社経営では、むしろナンバー2が成功のカギを握っているというのです。
ナンバー2が優秀だと、なぜ会社は伸びるのか。どうすれば優秀なナンバー2になれるのか…。本書はこれらのテーマについて、ホンダ創業者・本田宗一郎氏と同社の経営を支え続けた藤沢武夫氏のエピソードなどを紹介しつつ論じていきます。
ナンバー2という存在にスポットを当てた『No.2 理論』。経営者や管理職はもちろん、ナンバー2を目指す人、会社やチームを発展させたいと願う人におススメの1冊です。