「キャリアの80%は予期しない偶然の出来事によって形成されている」
解説
「なぜ私は今、この仕事をしているのか」 ―― 。そう自問しても、「何となく」としか思えない人は少なくないだろう。実際、アメリカの一般社会人のうち、18歳の時に考えていた職業についている人は、全体の約2%にすぎない。
この理由を解き明かしてくれるのが、キャリア心理学の「プランド・ハップンスタンス・セオリー(計画された偶然性理論)」だ。上記の言葉は、この理論を提唱したスタンフォード大学のJ・D・クランボルツ博士が、ビジネスパーソンのキャリアを分析した結果、得た結論である。
つまり、成功を勝ち取り、幸福を手にした人の人生を調査したところ、その人生のターニングポイントとなった要因の実に8割が、偶然の出来事や出会いによるものであった、というのだ。
これは、「運のいい人が成功する」というのとは異なる。この調査でわかったのは、幸福と成功を手に入れている人には、ある「生き方」が共通していたということだ。彼らは、自分を幸福にしてくれる偶然(ラッキーな出来事)が起きやすいような考えや価値観を持ち、それにふさわしい行動をとっていたのである。
その生き方のポイントとは、「好奇心」「粘り強さ」「オープン・マインド」「楽観性」「リスクテイク」だった。
編集部のコメント
職場の悩み、家族の悩み、恋愛や結婚の悩み…。私たちの人生には、悩みや苦しみがつきものです。こうした悩みや苦しみは、なぜ生じるのでしょうか?
『あなたのその苦しみには意味がある』は、この問いに答えるヒントを示してくれる本です。
著者は、心理療法家(心理カウンセラー)の諸富祥彦氏。氏の著書は、『「本当の大人」になるための心理学 心理療法家が説く心の成熟』(集英社)など、『TOPPOINT』でもたびたび紹介しています。
『あなたのその苦しみには意味がある』の特徴は、自分にふりかかる問題を「目的論的見地」に立って捉えることを提案している点です。
人は、問題にぶつかるとすぐ「原因」や「解決策」を考えがちです。これに対し、目的論的見地に立てば、問題の「意味」と「目的」に考えをめぐらせることになります。具体的には、自分に対して次のように問いかけます。
「あのような出来事が、いったい、なぜ、あの時の私に、あのタイミングで、私の人生で起きなくてはならなかったのか。その意味と目的はどこにあるのか」
この問いかけの裏にあるのは、“人生のすべての出来事には意味があり、「必然性」があるから起きている”という考え方です。こういう見方をすれば、単なる災いだった悩みや苦しみが、異なる意味を持ち始めるのではないでしょうか。
なぜ自分は、この仕事をし続けなくてはならないのか ―― 。そんな風に思い悩むすべてのビジネスパーソンに新たな視点を提供してくれるものとして、一読をおすすめしたい書です。




