長い目で見れば、従業員に失敗を認めるよう促すことは、進歩のための重要な第一段階となるのである。
解説
病院におけるチーム力学について調べた研究がある。この研究の中心となる疑問点は、「同僚と良い関係にある看護師は失敗が少ないか」というものだった。
協調性の高い環境であれば、看護師はより仕事に集中でき、失敗も少ない ―― そんな結果が出ると思いきや、実際は逆だった。上司や同僚との関係が良好なほど、看護師の失敗は多いのだ。
なぜ、そうなるのか。仲間との絆が強くなると、失敗が増えるのではない。失敗の「報告」が増えるのだ。理由は単純だ。失敗を報告した時に厳しく咎められれば、誰も失敗を認めない。だが、職場が安全だと感じられ、失敗が学習の過程と見なされるなら、失敗を隠す必要がなくなる。
失敗を認めることを恐れるチームは、原因を調べないので、将来、同じ失敗を繰り返す可能性がある。一方、失敗を率直に認めるチームは他者の失敗から多くを学び、対策を講じることができる。
そのため、従業員に失敗を認めるよう促すことが、進歩のためには重要となる。米国のある製薬会社は、自分の研究の結果が望ましくないことを認めた科学者に、追加のストックオプションを与えている。早く失敗すれば、より早く、もっと見込みのある計画に取り組めるからだ。
編集部のコメント
モチベーションを専門とする社会心理学者のロン・フリードマン氏によると、従業員のエンゲージメントを強化する方法や、従業員が幸せに働ける職場づくりのポイントについては、心理学の調査研究によってすでに明らかになっているそうです。ところが、その知見を活かしている企業があまりに少ないといいます。
現代の科学と職場の間に存在する大きな溝 ―― 。それを埋めようとして氏が著したのが、『最高の仕事ができる幸せな職場』です。
本書では、生産性と創造性、やる気がアップする職場の作り方を3部構成でアドバイスします。
第1部では、上掲の文章のように組織が失敗をする理由や、職場に遊びを取り入れる必要性、職場に親友がいることの利点などについて説明しています。
第2部では「モチベーション」に焦点を当てています。強引なリーダーがチームを生産的にできない理由やゲームの効用などについて、著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏のエピソード等を交えながら解説します。
第3部のテーマは、優秀な従業員の雇用と育成。面接で相手の素質を見抜く方法や職場に対する誇りをいかに育むかが論じられています。
紹介される内容は、どれも業界を問わず実践できるものばかりです。また、調査結果に基づいたものなので非常に説得力があります。より良い職場環境を作りたい、従業員を幸せにしたいと願う経営者・マネージャーには、特に手に取っていただきたい1冊です。




