「動機善なりや」。私は、企業経営をする上で、こう自問することを常としています。
それは、新しい事業を展開する場合などに、「動機善なりや」ということを自らに問うのです。何かをしようとする場合、自問自答して、自分の動機の善悪を判断するのです。
解説
京セラの創業者・稲盛和夫氏は、上掲のように語る。
善とは、普遍的に良きことであり、普遍的とは、誰から見てもそうだということである。自分の利益、都合などだけで物事は全うできるものではない。その動機が、自他ともに受け入れられるものでなければならない。
また、氏は仕事を進めていくに当たって、「プロセス善なりや」ということをも問う。
結果を出すために不正な行為もいとわないということでは、いつかしっぺ返しを食らうだろう。実行していく過程も、人の道を外れるものであってはならないのだ。
言い換えれば、「私心なかりしか」という問いかけが必要なのである。自分勝手な心、自己中心的な発想で事業を進めていないかを点検するのだ。
動機が善であり、実行過程が善であれば、結果は問う必要はない。必ず成功する ―― そう稲盛氏は説いている。
編集部のコメント
『[新装版]心を高める、経営を伸ばす 素晴らしい人生をおくるために』は1989年に刊行され、多くの経営者やビジネスパーソンに読み継がれてきたロングセラーの新装版です。
本書では、京セラとKDDIという業態の異なる2つの大企業を創業した稲盛和夫氏が、半世紀近くに及ぶ経営者人生で試行錯誤を重ねながら培った人生観と経営哲学を語ります。
上掲の「動機善なりや」をはじめ、素晴らしい人生を送るための考え方や働く喜びの見つけ方、困難を乗り越える姿勢、自らを高める方法、組織を成長させるための心得まで、100を超える教訓を見開き2ページごとに収録。稲盛氏の実体験を交えながら平易な言葉で綴られた教えは、仕事や人生で壁に直面した際の支えとなり、多くの示唆を与えてくれるでしょう。
刊行以来、この本は仕事や人生の「羅針盤」として長年支持され続けてきました。新装版ではコンパクトな文庫サイズとなり、持ち歩きやすい1冊に生まれ変わっています。また、発売後すぐに重版が決まり、累計68刷・21万部を突破するなど、多くの読者から高い評価を得ています。
経営者はもちろん、社会に出たばかりの若い人や、仕事や人生の指針を求めるすべての人にとって、時代を超えて読み継がれる名著です。まだお読みでない方には、この機会にぜひ一読をお勧めします。




