実は、科学的には、選択肢がありすぎるのはよくないことになっているのだ。消費者は、あまりにも多くの選択肢を与えられると、圧倒されてしまったり、誤った選択をすることを恐れたりし、結局は何も選ばないことになるケースが少なくないのだ。
解説
選択肢が多すぎると、消費者は迷って買わないことが多い。このことは、「選択肢のパラドックス」として知られている。
コロンビア大学経営大学院のシーナ・アイエンガー教授が、それを裏付ける実験を行っている。
実験では、高級食料品店にジャムの試食コーナーが設けられた。そして、初日には買い物客に24種類のジャムを試食させ、2日目には6種類だけ出した。
すると、実に明確な結果が出た。初日の24種類の時は、試食した客のうち、買った人はわずか3%だったが、6種類の時はその10倍の30%の人が買ったのだ。
選択肢が多い方が売れると考えられがちだが、現実には、選択肢が多い方が買う人は少なくなる。そこが「パラドックス」なのだ。
編集部のコメント
これからは、大量生産でなく「特注量産」の時代だ ―― 。
ナイキのスニーカー、デルのパソコン、ネットフリックスのおすすめ番組など、21世紀のビジネスにおいては、個々の消費者のニーズに応じて商品を「カスタマイズ」して提供する企業が増えています。
『カスタマイズ 【特注】をビジネスにする新戦略』は、業態の垣根を超えて広がる、そんな「カスタム革命」について解説した本です。
著者は、20代でベンチャー企業「YouBar(ユーバー)」を立ち上げて成功した起業家アンソニー・フリンと、その姉でビジネスライターのエミリー・フリン・ヴェンキャットです。
YouBarは、素材や味などを自分好みに作れる「オーダーメイドのシリアルバー」を提供する会社。アンソニーらはまさにカスタム革命を体現する存在であり、そんな彼らが自らの知見を惜しみなく披露している点に、本書の1つの特色があるといえます。
本書第1章の「本書出版の経緯」によると、実は共著者のエミリーは、最初にアンソニーから本書の執筆を持ち掛けられた際、乗り気ではなかったそうです。「カスタマイゼーションは興味深いトレンドではあるけれど、本にするほどのものではない」、と。
そんなエミリーの心を動かしたのは、アンソニーの次の言葉でした。
「カスタマイゼーションは単なるトレンドじゃない。2040年までには、食べるもの、着るもの、車、広告、海外旅行と、消費者の買うものすべてが、個人の好きなようにカスタマイズされるようになる。ありとあらゆるものが」
本書は、そんな未来社会の姿を描いた上で、新しいカスタマイズ事業を立ち上げる方法や、既存の事業にカスタマイズ要素を組み込む方法を伝授します。
どうしたらカスタマイゼーションを用いて、新たなビジネスを成功裡に立ち上げられるのか? 既存事業の売上を飛躍的に高めるには? 自社製品を競合品と差別化するにはどうすればよいのか?
アンソニーらは様々な起業家や学者の実例を交えながら、こうした疑問に答えていきます。
21世紀のビジネスで成功する秘訣はカスタマイゼーションにあり、私たちは今、カスタム革命の入口に立っている。そう説く本書の内容は、カスタマイズ事業の立ち上げや既存事業への組み込みに悩む人々にとって、必ずや参考になるでしょう。




