今回の調査をはじめたとき、良好な企業を偉大な企業に飛躍させるためにはまず、新しい方向や新しいビジョン、戦略を策定し、つぎに新しい方向に向けて人びとを結集するのだろうとわれわれは予想していた。
調査の結果は、まったく逆であった。
偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、まずはじめにバスの目的地を決め、つぎに目的地までの旅をともにする人びとをバスに乗せる方法をとったわけではない。まずはじめに、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうべきかを決めている。
解説
「そこそこ良い実績」から「偉大な実績」への飛躍を遂げ、その実績を少なくとも15年間にわたって維持している ―― 。1965~95年に『フォーチュン』誌の「アメリカ大企業500社」に登場した企業の中で、そのような企業は11社ある。
飛躍を遂げた企業は、そうでない企業と何が違うのか? その1つは、上掲の通り「最初に人を選び、その後に目標を選ぶ」ということだ。この点に関して、飛躍へ導いた指導者は次の3つの単純な真実を理解している。
第1に、「何をすべきか」ではなく「誰を選ぶか」から始めれば、環境の変化に適応しやすい。人々がバスに乗った理由が「目的地が気に入ったから」であれば、行く先を変える時、問題が起こる。だが、「同乗者が気に入ったから」であれば、行く先を変えるのは簡単だ。
第2に、適切な人たちがバスに乗っているなら、動機付けや管理の問題はほぼなくなる。厳しく管理する必要も、やる気を引き出す必要もない。
第3に、不適切な人たちばかりであれば、正しい方向、方針がわかってもそれを実行できない。
編集部のコメント
真に卓越した企業の特徴を、徹底的な調査で解き明かした名著『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』。その著者であるジム・コリンズ氏が、さらに6年の歳月を費やして書き上げた続編が、『ビジョナリー・カンパニー② 飛躍の法則』です。
本書は、『ビジョナリー・カンパニー』に対する「素晴らしい本だが役に立たない」という批判を出発点としています。それは、同書で取り上げられた企業がいずれも偉大な創業者によって築かれた「偉大な企業(グレート・カンパニー)」であり、多くの企業の手本にはならないのではないか ―― という指摘です。
この指摘を受け、「良い企業は、いかにして偉大な企業へと飛躍できるのか」という問いをジム・コリンズ氏は徹底的に追究します。全米1435社の中から、長期にわたって卓越した業績を上げ続けた11社を抽出し、同業他社と比較・分析しました。そして、たばこメーカーのフィリップ・モリス、製紙会社のキンバリー・クラークといった企業の事例を基に、11社に共通する要因を「6つの法則」としてまとめています。
もっとも、登場する事例の中には日本ではなじみの薄い企業も少なくありません。また、その後に経営破綻や不正によって凋落した企業が含まれているのも事実です。
ただ、それでも本書が示す「飛躍の法則」は、企業を成長させる上で今なお多くの示唆を与えてくれます。まだお読みでない方には、一読をおすすめしたいビジネス書です。




