会議の理想は、「必要に応じてさっと集まり、立ち話でさっと打ち合わせをすませてしまうこと」 ―― これに尽きる。
解説
サラリーマンは、全労働時間の約3割を会議に費やしているといわれる。となれば、中身のないダラダラした会議などは、人と時間とお金のムダ使い以外の何ものでもない。
そこで著者の酒巻久氏が社長を務めていたキヤノン電子では、会議の時間短縮と活性化を目指して、会議を立ったままで行うようにした。そのために、全ての会議室から椅子を撤去し、テーブルの脚に約30cmの「ゲタ」を履かせ、立って使うのにちょうどいい高さにした。さらに、会議の効率化と創造性の発揮のために、2つの仕掛けを施した。
1つは、「自分の意思のない意見は厳禁」というルールを作ったことである。具体的には「~だろう」「~と担当者が言っています」などの表現を禁じた。これらの曖昧で無責任な表現を許すと、その発言に対する責任もいい加減なものになる。
もう1つは、資料の持ち込みと配布を禁止したことである。手元に資料があると、どうしてもそれを目で追い、ただ棒読みするだけになってしまう。そこで、必要な資料はスクリーンに投影し、それを見ながら会議を進めるようにした。
こうした取り組みの結果、それまで延べ16時間もかかっていた経営会議が、わずか4~6時間で終わるようになったという。




