マネジャーにとって、自分が任されているすべての仕事の状況を常に把握しつづけるのは至難の業である。(中略)
こうした問題には、「5:15レポート」と呼ばれる、とてもシンプルな報告のシステムがおすすめだ。これにより、会社や部門、自分の仕事についての進捗、問題点、重要な出来事、および予定を把握することが可能になる。
解説
マネジャーが部下の仕事を把握するためのテクニックの1つが、上記の報告のシステムである。
このシステムでは、マネジャーは部下全員からレポートを受け取る。部下は週に1回、A4で1枚以内に収めたレポートを作り、マネジャーに提出する。
「5:15レポート」という名称には、3つの意味がある。
-
- ①マネジャーが5分以内に目を通せる
- ②部下が15分以内で用意できる
- ③指定された日の夕方5時15分までに提出する
このレポートの目的は、マネジャーがカギとなる情報のみを把握することである。例えば ――
-
- ・計画、プロジェクトの進捗
- ・表面化してきた長期的・短期的な課題
- ・状況を改善するようなアイデア
- ・達成できた成果
- ・予期せぬ出来事
カギとなる情報を押さえておくことは、意思決定、計画の変更、および主導権を握る上で極めて大切である。
提出されたレポートに対しては、提案やコメントを書いて返せばよい。また、部下が仕事で成果をあげた時、このレポートを使って称賛することもできる。
編集部のコメント
仕事をうまく遂行できないマネジャーには、失敗する理由がいくつかあります。部下との間に強い信頼関係を築けていない、悪いニュースを聞く耳を持たない…。
『「叩き上げCEO」が明かす結果にこだわる思考法』は、このような問題を回避して、結果を出すための方法を説いた書です。
著者は、デニー・F・ストリグルとフランク・スウィアテク。
ストリグル氏は、電話設置の現場作業員から、米国最大手の携帯電話会社ベライゾン・ワイヤレスのCEOにまで上り詰めた人物です。本書では、そんな「叩き上げCEO」が、自身の経験に裏打ちされたリーダーシップ論を展開しています。
共著者のスウィアテク氏は、ベライゾン・ワイヤレスなどアメリカの大企業を支援するコンサルタントであり、アメリカ、カナダにおいて3400回以上の講演やセミナーを行った経験を持っています。「はじめに」によれば、スウィアテク氏がベライゾン・ワイヤレスを退職したストリグル氏に声をかけたことがきっかけで、一緒に本を執筆することになったようです。
「マネジャーの最優先事項は、結果を出すこと」。ストリグル氏はそう語り、結果を出すための思考法、そして、部下に能率的な仕事をさせるためのテクニックの数々を披露します。上記で紹介した「5:15レポート」もその1つです。
この他にも、「マネジメントの四大原則」「リーダーの後ろ姿」「成功するマネジャーの心得」など、責任感の文化をつくるためのヒントが多数紹介されています。
いずれも、ストリグル氏が長い年月をかけて成果を実証したものばかりです。その意味で本書は、第一線で働くマネジャーに向けた、実践的なガイドブックといえるでしょう。