企業は社員を第1に考えなければならない。そう、顧客よりも先に、である。(中略)
「顧客第1主義」を信じる企業は思い違いをしているだけだ。
人はもともと、顧客を第1に考えるようにはできていないし、会社に言われたからといってそうすることもない。自分が誰かに大事にされていると感じて初めて、その気持ちを心から他人と分かち合うことができるのだ。
顧客よりも社員を大事にしろと言うのではない。顧客の「ために」社員を重視しろと言っているのである。そうすれば誰もが得をするからだ。
解説
「企業は顧客ではなく、社員を第1に考えるべきである」 ―― これが、ハル・ローゼンブルース氏の説く「顧客第2主義」である。これはまた、氏が曾祖父の作った地方旅行代理店を世界第3位にまで育て上げた要因の1つである。
では、顧客第2主義の意味するところは何なのか?
多くの企業は「顧客第1主義」を唱える。その一方で社員は、毎晩、職場のストレスや欲求不満を家に持ち帰る。そして、それが家庭内トラブルの原因となり、仕事にも影響を及ぼしている。
こうした悪循環が続いたのでは、企業の成長など望むことはできない。
組織にとって、社員は最強の資産である。彼らの忠誠心、やる気なしに業績を伸ばすことはできない。従って彼らの不安を除き、楽しく仕事ができるようにすること、すなわち顧客第2主義こそが、経営の最重要課題なのだ。
顧客にサービスを提供するのは社員であり、最高のサービスは“心”から生まれる。すなわち、社員の心をつかむ会社こそが、最高のサービスを提供できるのである。
編集部のコメント
企業は、「顧客」でなく「社員」を第1に考えるべきだ ―― 。
そんな「社員第1主義」を基本理念に掲げているのが、旅行代理店のローゼンブルース・インターナショナル社。わずか30年弱で売上300倍を達成、フィラデルフィアの1旅行代理店から世界第3位へと急成長した会社です。その独自の経営哲学などによって『フォーチュン』誌の「最も働きやすい会社100」に選ばれたほか、『アメリカで働きたい会社ベスト100』のトップテンにも挙げられています。
このローゼンブルース社の経営の要諦をまとめたビジネス書が、本書『顧客第2主義 「超」成長企業の経営哲学』です。著者は、躍進の立役者である同社社長のハル・ローゼンブルースと、同社の元トップ・コミュニケーション・オフィサー、ダイアン・M・ピータースです。
本書の「プロローグ」によれば、ハル・ローゼンブルースが入社した当初、ローゼンブルース社は顧客一辺倒で社員への配慮はほとんどなく、社員同士の仲も悪い会社だったそうです。そんな同社が、いかにして「社員第1主義」を謳う会社へと変わったのか。本書では、同社がどのように変わったか、変わるためにどんな方策を取ったのかが詳説されています。
具体的には、第一部で社員を尊重し、育てることの大切さとその実践方法を説明。さらに、第二部で「社員第1主義」をテクノロジーや戦略的プランニングなど、様々な分野に広げる方法を解説しています。
本書は、1992年に初版が刊行された後、米国サービス業界で読み継がれてきたバイブルです。サービス業に携わる方に限らず、社員を支え育てたいと願う人にも参考になる点が多いことでしょう。




