日本生産性本部が2012年に行った調査で、約8割の課長が「自分は部下を褒めている」と回答したのに対し、「上司は褒めるほうだ」と感じている部下は約5割しかいないことがわかりました。上司の「褒めているつもり」は、あまり部下に伝わっていないということです。
解説
 これは、無理もない話ではある。今の課長世代は「甘いことを言っていると本人のためにならない」と、あえて厳しい言葉をかける上司の下で育った。自分が褒められることがなかったから、「褒めて育てる」ができないわけだ。
 だが、若い部下世代は親や教師から褒められて育っており、それが当然のこととなっている。
 ここで重要なのは、どちらがいい・悪いではなく、上司としては部下の感覚に合わせるしかないということ。なぜなら、「いいことをしたら褒められる」とインプットされてきた部下たちは、褒めてもらわなければ、自分がとった行動がいいのかどうかわからないからだ。褒められなかった彼らは、やがてその行動をとらなくなる。
 褒めることは、部下にこびることではない。部下のいい行動を、繰り返し引き出すことだ。それによって、部下は成長する。
 普段から部下を観察し、褒められるところを探そう。書類の提出期限を守ったら、「偉いじゃないか、これからも頼むよ」。顧客訪問件数が増えたら、「頑張っているね、その調子だよ」。
 たったこれだけのことを、言えないはずはない。            
            
            
            
              
              
              



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