もしニューヨークで2、3時間ひまな時間ができたら、イースト川沿いの東34番街の外れから出ている遊覧ヘリコプターに乗るといいでしょう。湾内に誇らかに立つ、あの気高く麗しい自由の女神にいよいよ近づいたら、注意してよく見てください。(中略)女神の頭のてっぺんを見下ろし、髪の毛が1本1本細部にわたるまで、いかに丹念に作られているか、よく見てください。衣服や体の他の部分も見てください。頭頂部の金属でできたデリケートな髪型は、その作業に、オーギュスト・バルソルディのパリの工房で、何週間も余分に時間がかかったに相違ありません。
あの偉大な彫刻家は、女神の頭のてっぺんを見る者は“誰もいない”のがわかっていながら、そのために数週間余分に費やしたのです。
解説
「報酬がなくてもやりたい」。そう思うくらい好きな仕事に巡り合えることは、万人の夢だ。しかし、皆がそうした幸運に恵まれるわけではない。ほとんどの人は、仕事にだんだん飽きてきて、全力を尽くさないようになる。
だが、小さなミスを黙殺したり、いい加減に済ませたりしていると、いずれ自分の成長を妨げるような大きな問題に発展する。何事も全力投球することが肝心だ。
そうした人生の不滅のルールの恰好の例が、自由の女神のエピソードである。
女神像は1886年に公開された。1886年といえば、まだ飛行機はない時代だ。彫刻家のバルソルディは、像を上から眺めるのはカモメくらいであること、そして、髪の毛を1本1本丹念に仕上げたりしなくても、誰にもわからないことは承知の上だった。にもかかわらず、この巨匠は手を抜くことをしなかったのである。
編集部のコメント
人生哲学や自己啓発に関する数多くの著作を残し、1996年に他界した作家、オグ・マンディーノ。彼が著した『オグ・マンディーノ 人生を語る 偶然を奇跡に変える17のルール』は、人生において「真の幸福」を得るための秘訣を語った本です。
オグ・マンディーノの作品は、人生哲学の分野において世界中で最も広く読まれているといわれています。ですが35歳の時の彼は、仕事も家族も失った、アルコール依存症のホームレスでした。そんな人生の底からマンディーノは一念発起し、ビジネスマンとして、またベストセラー作家として成功を収め、真の幸せを手にすることを叶えました。
彼が壮絶な人生から得た最大の教訓、それは「人生はゲームだ」ということ。そしてゲームに勝つには、ルールを知る必要があります。しかし、そのルールは誰も教えてはくれません。そこでマンディーノは、自らの挫折と成功の体験を踏まえて、読者に「人生を乗り切る」ためのルールを本書で説いています。
『オグ・マンディーノ 人生を語る』が紹介する17のルールは、誰でもすぐに実行できる簡単なものばかりです。「恵まれている点に目を向ける」「給料以上の働きをする」「過去の失敗や不幸を引きずらない」…。これらのルールを継続して実践することで、世界の見方が変わり、真の幸福を体験できるかもしれません。人生や仕事で悩んでいるビジネスパーソンへの処方箋として、お薦めしたい1冊です。