ギャンブルでは、たいていの場合、プロが勝つ。なぜか?
アマチュアのギャンブラーは自分に都合の良いカードが出るように願ったり、祈ったりする。これは楽観主義に他ならない。
それに対してプロは自分に不利なカードが回ってきた時のことを考えながら行動する。これが、プロがアマチュアに勝る理由である。
解説
運・不運の違いはどこにあるのか?
その答えを求め、ジャーナリストのマックス・ギュンターは1000人以上の人生を観察した。
その結果、わかったのは、運の良い人は総じて悲観的だということ。一方、どんなに悪い結果でも気にせず、いつも陽気な楽観主義者は、残念ながら不運な人生を歩むという。
運の悪い人が抱えている問題は、「運」と「計画」を区別できないことにある。
不運な人は、何度かの成功に気を良くして、「成功したのは自分がうまくやったからだ」と勘違いし、同じ戦術を繰り返す。そして、最後には必ず失敗する。
仕事、人間関係、お金に関して、運の良い人は「運」と「計画」を区別する。自分の思い通りになることは限られている。この点をわきまえているからこそ、運の良い人はこう考える。
「状況が悪い方向に進むこともある。だから、悪い結果が起きることを想定しなければいけない。最悪の結果は何か? それはどういうものか? 自分を守るために何ができるのか?」
プロのギャンブラーは、楽観主義を拒絶することによって勝ち続ける。さらに、最悪のケースを想定し、自分に不利なカードが回ってきた時のことを考えながら行動する。これが、プロがアマチュアに勝る理由である。
ウォール街でも同じで、投資における敗者は楽観主義者なのだ。
編集部のコメント
運とはいったい何か。その正体をつかみ、うまくつきあうことは可能なのか…。『運とつきあう 幸せとお金を呼び込む13の方法』は、これらの問いにこたえ、自分の運を向上させるための方法を詳述した本です。
著者のマックス・ギュンターは1927年、英国生まれ。米国ビジネスウィークの編集者などを経て、『タイム』『プレイボーイ』などに寄稿し、ジャーナリスト、作家として活躍します。
そうした経験を積む中で、ギュンターは人生のあらゆる面において運の良い人と運が悪い人がいることに目を向けます。両者の違いは何か。いつもツイている人がいる一方で、ほとんどツキに見放されている人がいるのはなぜか。この答えを見つけるために、彼は1000人以上の人を観察しました。そしてその結果から、運の良い人がどのように日々の生活を送り、何を実践しているかを導き出します。その成果を「13の方法」として提示したのが、この『運とつきあう』です。
ギュンターは1998年に死去するまでに、多くの著作を残しました。そのうち日本語に訳されたものは3冊。投機の知恵を凝縮したベストセラー『マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール』(日経BP社)。幸運をつかむための法則をまとめた『「ツキ」の科学 運をコントロールする技術』(PHP研究所)。そして、『「ツキ」の科学』の後続となる本書です。
人生を翻弄する運の本質を冷徹な観察眼で見抜いたギュンター。『運とつきあう』は、世の中をうまくわたっていくための知恵が詰まった“処世術”の書としても楽しむことができます。
なお、上述の『マネーの公理』『「ツキ」の科学』は、いずれもTOPPOINTライブラリーで要約をご紹介しております。鋭い洞察力が光るこれらの書を併せて読まれるのも一興です。