ハーバード大学が1万2000人以上を対象に、30年以上にわたって追跡した研究によると、日々接している家族や友人が幸せを感じていると、幸せを感じる可能性が15%高まるという研究結果が出ています。(中略)
ハーバード大学の研究では、年収が1万ドル増えても幸福度は2%しか増えないことがわかりました。この結果を踏まえて、研究者は「幸せになりたいなら、収入を増やすよりも、よき家族や友人との関係を強める方が効果的」だと結論付けています。
解説
人とのつながりは、人生に大きな影響を与える。
ある研究グループは、「最も身近な人との人間関係が健康にどのような影響を及ぼすのか」を調べるために、42組の夫婦に協力を依頼した。
まず、これまでの夫婦関係の善し悪しについて自己申告してもらった。その後、彼らの腕に小さな傷を数カ所作り、治り具合を測定した。その結果、「自分たちは仲が悪い」と申告した夫婦は、「仲が良い」と申告した夫婦に比べて、傷が完治するのに約2倍の時間がかかった。
つまり、人が何らかのダメージから回復する際、「人間関係の幸福」が大きな影響力を持つのだ。
人間関係の幸福度を高めるには、まずは親友を持つことである。
既婚者であれば、夫婦お互いが一番身近な親友になる。その親友との関係の質が、あなたの健康状態と幸福に重要な役割を果たす。
人間関係の幸福度が高い人は、何かを成し遂げ、人生を楽しむことを応援してくれる仲間に囲まれている。とはいえ、彼らは周囲の人に恵まれたラッキーな人ではない。
彼らは、毎日6時間程度をコミュニケーションのために使う。さらに、意識的に時間を作って、仲間と集まったり、共に旅をしたりして絆を深める。その結果として、素晴らしい人間関係を築き、そこからポジティブなエネルギーを得ているのである。
編集部のコメント
世論調査で世界的に有名なグローバル企業、ギャラップ社。同社は、長年にわたり人間性と行動についての研究を続けています。そんな彼らのテーマの1つが、「幸福」。同社は1950年代から50年以上、幸福に関する調査を行っています。
その集大成とも言うべき書が、この『幸福の習慣』です。世界150カ国におよぶ調査結果から、人の幸福を決める「5つの要素」を導き出し、豊富な事例とともに紹介しています。
2人の著者は、共にギャラップ社に籍を置く人物です。トム・ラスは、仕事環境の研究部門、およびリーダーシップ・コンサルティング部門の統括者。ジム・ハーターは、同社のチーフサイエンティストを務めています。
元気で充実した人生を生きるために何ができるか――。ギャラップ社は半世紀以上、このテーマに取り組み、国や文化の枠を超えて探究を続けてきました。同社がその研究の一環として実施したのが、冒頭のグローバルな調査です。
集めたデータは、世界人口の98%以上という膨大なもの。それらを比較した結果、“活き活きした人生”と“悩み多き人生”、どちらの道に進むのかを決定づける要素が明らかになります。
その要素とは、「仕事の幸福」「人間関係の幸福」「経済的な幸福」「身体的な幸福」「地域社会の幸福」の5つ。本書はこれら「人の幸福を決定する5つの要素」について、豊富な事例を交え解説しています。
「訳者あとがき」によれば、本書の特長は、幸福度でハイスコアをとった人々へのインタビューをもとに、よりよく生きるコツを抽出した「使える」本である、ということ。彼らが日ごろ実践していることが具体的に紹介され、すぐに取り入れる方法を見つけられるといいます。
著者らによれば、5つの要素は万国共通。本書で紹介されている方法の中から自分に合ったものを見つけ、日々の習慣にすれば、人生の幸福度を高められるかもしれません。