人はそんなに変わりようがない。
足りないものを植えつけようとして
時間を無駄にするな。
その中にあるものを引き出す努力をしろ。
これこそ本当に難しい。
解説
世論調査を手がけるギャラップ社で17年間、世界トップレベルのリーダーやマネジャーの調査に携わったマーカス・バッキンガム氏。
氏は、「世界最高レベルのマネジャーたちは、どのようにして才能がある従業員を発掘し、仕事に専念させているのか?」と疑問を持ち、その回答を求めて、様々なマネジャーにインタビューを行った。
その結果、優秀と評価されているマネジャーの間に共通項はあまりないことがわかった。性別、人種、年齢、そして行動スタイルも、目標も異なる。
しかし、ただ1つ共通点があった。優れたマネジャーが何万人もこだまのように口にした、ある1つの考え方がある。
それが、上記の言葉 ―― 「人はそんなに変わりようがない。足りないものを植えつけようとして時間を無駄にするな。その中にあるものを引き出す努力をしろ」である。
この考え方こそ、優れたマネジャーに備わった知恵の源泉である。
部下にどのように接し、彼らのために何をするのか、その全てがこの考え方に反映されている。マネジャーとして成功するための基本なのだ。
マネジャーの役割は、部下の内面に入り込んで、その部下ならではの才能を解き放ち、パフォーマンスに結びつけることである。
そして、そのために最も効果的なのが、部下を1人ずつ相手にすることである。
部下に個別に質問をし、話を聞き、そして一緒に仕事をする。すなわち、マネジャーが1対1で接することこそ、企業の活力の源泉である。
編集部のコメント
成功するマネジャーの共通点はただ1つ。「才能」のある部下を見つけて仕事に専念させ、成果を引き出すことだ――。
『まず、ルールを破れ すぐれたマネジャーはここが違う』は、そう明言し、優れたマネジャーに求められる“常識破り”の考え方と行動を導き出した本です。
著者の1人、マーカス・バッキンガム氏は、米国の調査機関ギャラップ社で17年間、世界トップレベルの職場やリーダー、マネジャーの調査に携わってきた人物です。なお、『TOPPOINT』では、本書以外にも『NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘』(サンマーク出版)や『さあ、才能に目覚めよう あなたの5つの強みを見出し、活かす』(日本経済新聞出版社)といったバッキンガム氏の著書をご紹介しています。
もう1人の著者、カート・コフマン氏は、ギャラップ・ワークプレイス・マネジメント・プラクティスのグローバル・リーダーです。生産性が高く顧客志向の強い職場づくりのコンサルティングに従事しています。
著者たちの経歴からもみてとれるように、本書の内容は、ギャラップの調査研究の結果に基づいたものです。「はじめに」によると、ギャラップが25年間にわたり実施した大規模な「二大調査研究」の集大成だとされています。
二大調査研究とは、「最も才能のある従業員にとって、職場で必要なものは何か」と「世界最高のマネジャーは、どのようにして才能がある従業員を発掘し、仕事に専念させ、企業内に引き留めているのか」の2つの調査研究のこと。調査対象は、従業員100万人以上、マネジャー8万人以上に及びます。
そんな途方もない数の人々の意見や信念を反映させて、『まず、ルールを破れ』は書かれました。それゆえに、著者たちは本書が「地に足のついた」内容になっていると自負しています。
自分に与えられた成果以上のものを達成するために、何をすればいいのか…。そんな悩めるマネジャーに、示唆に富んだ数多くのアイデアを提示してくれるビジネス書です。