多くの統計は、額面通り受けとるとウソばかりである。統計は、数字という魔術によって、人々の常識を麻痺させてしまうからこそ、生きながらえているのである。
解説
統計数字は、必ずしも示されている通りのものではない。一例を挙げよう。有名な泌尿器科の大家が、米国には800万人の前立腺ガンの患者がいると計算した。だがこれが事実なら、ガンのリスクが高い年齢の男1人について、1.1人の前立腺ガン患者がいる、というおかしなことになる。
また、あまりにも正確すぎる数字というのも、疑ってかかった方がよい。ある調査で、家族持ちの女性労働者が生活していくには、「40.13ドルの週給が必要」だと述べられていた。論理的に考えれば、生活を維持する経費など最後の1セントまで弾き出せるものではないことがわかる。だが、「約40ドル」というより「40.13ドル」という方が、いかにも本当らしく聞こえるのだ。
統計に騙されないためには、次の5つの点をチェックしてみる必要がある。
①誰がそう言っているのか(統計の出所に注意)
②どういう方法でわかったのか(調査方法に注意)
③足りないデータはないか(隠されている資料に注意)
④言っていることが違わないか(問題のすりかえに注意)
⑤意味があるか(どこかおかしくないか)
編集部のコメント
数字があふれる現代、その裏に隠された本当の意味を知るには「統計学」の知識が欠かせません。
そんな統計学の名著として知られるのが、1968年に刊行された『統計でウソをつく法 数式を使わない統計学入門』です(原著は1954年刊行)。
本書は刊行以来、重版を重ね、2025年2月時点で106刷に到達。累計発行部数も34万部を突破するロングセラーとなっています。
著者は、長年にわたり社会心理学や統計学などを研究した、作家のダレル・ハフ氏です。
私たちは、どんなに怪しげな話でも、それに関連する統計資料やデータを見せられると、つい信じてしまいがちです。
ですが、統計は常に正しいとは限りません。肝心なデータが意図的に省かれていたり、誤った計算方法が用いられていたりすることも少なくない、とハフ氏は指摘します。
そうした統計の「ウソ」についての指摘が、上掲の一節です。
この本の特徴は、私たちが統計でだまされないために、あえて「だます方法」を紹介している点にあります。ハフ氏は本書の「はしがき」で、次のように述べています。
「この本は統計を使って人をだます方法についての入門書のようなものである」
そして実際、様々なウソや誤りの例を挙げながら、そのトリックの見破り方を伝えています。難しい数式は使わずに、統計の使い方を教えてくれる点も、長く読み継がれる理由でしょう。
ビジネスや人生において、数字にだまされない知識を身につける1冊として、一読をおすすめします。




