「最後の藁1本がラクダの背中を折る(The last straw breaks the camel’s back)」という諺がある。
ラクダにたくさんの荷物を背負わせようと、欲張ってどんどん荷を積み上げてゆく。ラクダは何もいわずにひたすら我慢しているが、あるとき、最後に載せた藁1本で背骨が折れてしまう、という話である。
つまり「物事には限界があるので限度をわきまえよ」という教えである。
解説
この話のような「最後の藁1本」現象は、様々なところで起こっている。
欧米では、投資銀行が身のほどを知らずに法外な給料をとり、強欲の限りを尽くして金を稼ごうとした結果、サブプライム・ローン問題が起こり、リーマン・ブラザーズがあっけなく倒産した。
日本でも、磐石だと思われていた企業が、わずかなはずみで崩れることがある。例えば、日本航空や東京電力がそうだ。組織や人が「藁1本で壊れる」事態は、いつやってくるかわからない。
とはいえ、崩壊の予兆が全く見えないのは、先見力が足りないからだ。実はその組織は、前から制度疲労の限界に達していたのである。
崩壊の予兆に気づかないのは、油断をしているか、物事の遠因を考えていない人だ。潰れた会社はもともとガタが来ていたのだから、中にいる社員なら日頃の雰囲気で感づかなければならない。