ドイツの文豪で哲学者のヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは、ある単純なことから人の未来を予想できる、と考えていた。すなわち、「時間をどのように使うかがわかれば、その人が将来どんな人物になるかがわかる」。
解説
私たちの行動は、「集中」と「注意散漫」の2つに分けられる。集中は目標の達成を助け、注意散漫は目標の達成を遠ざける。
では、どうすれば集中しやすくなるのか。その1つの方法は、予定を立てて、時間を浪費しないようにすることだ。文豪ゲーテは、時間の使い方で人の未来がわかる、と言った。古代ローマの哲学者セネカもまた、こう書いている。「人は金を倹約するのに、倹約すべき時間を平気で浪費する」。
セネカが2000年以上も前に残した言葉は、今でも真実だ。研究によると、1日の予定を決めている米国人は3人に1人。大半の人は、特に予定を立てることもなく日々を過ごしている。最も貴重な財産であるはずの時間を浪費しているのだ。
浪費を避けるには、予定を立てなければならない。一般的な方法は「やることリスト」をつくることだが、これには欠点がある。リストアップしたことの多くは、後回しにされてしまうのだ。
従って、何をしたいかではなく、なぜしたいかというところから始めるべきだ。それにはまず、自分の価値観を見直す必要がある。
編集部のコメント
注意散漫の根本原因に向き合い、集中力を取り戻す。そのための技術を教えてくれるのが、本書『最強の集中力 本当にやりたいことに没頭する技術』です。
集中したいのに気が散ってしまう経験は、誰しもあるでしょう。その原因として、スマホやSNS、テレビ、ゲームなどがよく挙げられます。けれども、それらは表面的な原因に過ぎず、「真の敵」はもっと深いところに潜んでいる、と本書はいいます。
著者の1人、作家でビジネスコンサルタントのニール・イヤール氏は、スタンフォード大学経営大学院とハッソ・プラットナー・デザイン研究所(Dスクール)で教鞭を執る人物。企業が心理学を駆使して仕掛ける、ユーザーが「ハマる」設計の仕組みについて教えています。
なお、氏の前著『Hookedハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』(翔泳社 刊)は、人を“やみつき”にさせる製品やサービスの心理的仕掛けを明らかにし、世界的ベストセラーとなりました。
イヤール氏自身も、かつては集中できずに苦しんだ経験を持つ1人です。どうすれば気を散らさずにいれるかについて、『最強の集中力』執筆のために5年にわたって調査したといいます。
「気を散らす敵」を撃退して、自分の時間と意志を取り戻す ―― 。この本には、そのための思考法と35の具体的なテクニックが詰まっています。例えば、「時間を浪費するという価値観を見直す」「注意散漫になる前に現れる不快な感情に注目する」等々。いずれも、すぐに実行可能な方法ばかりです。
さらに、読者特典として77ページにおよぶ実践ワークブック(PDF)も無料で提供しています。本書を読み進めながら使用することで、集中力や注意散漫に関してより深く理解し、実生活に応用できるのではないでしょうか。
情報があふれる現代、「集中力」は最強のビジネススキルといえます。本書は、スマホやメールの通知に振り回される毎日から脱し、本当にやりたいことに全力を注ぐための1冊といえるでしょう。