納税者である国民が、その納税したお金の使い手である行政の仕事ぶりを「信頼」できなくては社会が成立しません。
 これは逆に、両者の間に「信頼」関係が成立しているからこそ、「高福祉・高負担」が維持できているともいえます。

解説

 日本からデンマークに渡り、1979年に同国の国籍を取得したケンジ・ステファン・スズキ氏は、40年以上にわたって、この「高福祉・高負担の国」で働き、子供を育ててきた。
 デンマークの消費税率は25%と、世界で2番目に高い(2010年当時)。にもかかわらず、氏はそれを「高負担」と感じたことはないという。
 大半のデンマーク人は、「共生」の精神を持っている。だからこそ、国を信頼して高負担を受け入れている。
 また、この共生を国の側から見れば、提供する高福祉を国民が好き放題に利用したりしないことを信頼しているともいえる。
 こうした信頼関係の背景には、何があるのか。
 理由は色々あるが、例えばデンマークでは、地方市議会議員はボランティアが務める。そのため議員報酬がなく、交通費などの手当が年間6万5000クローネ(2010年当時、約98万円)支給されるだけだ。また、国会議員の年収は750万円程度である。
 ちなみに日本の国会議員の歳費(給与)は年間2000万円以上。これに非課税の手当て(文書通信交通滞在費)が年1200万円つく。
 デンマークの政治家は、決して高い報酬や給与を貰って、その職に就いているわけではない。もしも給与が高額だったら、国民の理解と信頼が得られるかは疑問だ。また逆に、議員が庶民であるから、国民の意識に近い判断ができているともいえる。
 加えて、議員の汚職が少ないことも、信頼関係の構築につながっている。こうして、デンマークの共生社会は、問題を各種抱えてはいても、社会全体のバランスが大きく崩れていないからこそ、生き続けているように思えるのである。

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