「創造には孤独が必要であると私は感じている」
――アイザック・アシモフ
解説
トマス・エジソン、アルバート・アインシュタイン、スティーブ・ジョブズ…。彼らのような並外れて革新的な人たちには、ある共通点がある。
それは、「孤独」だ。画期的なイノベーションを生み出した人たちの多くは、児童期や青年期に長い時間を1人で過ごし、関心があるものを追求していた。孤独な時間は思索を深めてくれるし、他人の意見に左右されることなく自分の考えを築くことを可能にしてくれる。
孤独が創造に有益なことは、「ブレインストーミング」の研究によって裏付けられている。
ブレインストーミングとは「1人で考えるより集団で考える方がアイデアを多く発想できる」とする発想法のことで、ビジネスで長年広く取り入れられてきた。ところが研究によると、集団で考えた方が1人で考えた時より生まれるアイデアが少なく、しかも斬新さに欠けるという。
その1つの原因は、評価への不安である。集団でアイデアを出し合うと、否定的な評価を恐れてアイデアの発表をためらってしまう。また、他人の発表を聞くうちに思考が変わることも一因だ。
他者の存在は創造のプロセスを妨げる ―― 。SFの巨匠アイザック・アシモフは、このことにずっと以前から気づいていたのである。
編集部のコメント
アインシュタインやスティーブ・ジョブズなど、時代を切り開いた人々の発想力は、「天賦の才」によるものとして語られがちです。しかし、本当にそうなのでしょうか?
『世界を動かすイノベーターの条件 非常識に発想し、実現できるのはなぜか?』は、この問いに正面から挑んだビジネス書です。
著者のメリッサ・A・シリング氏は、ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネス教授で、イノベーション研究の第一人者として知られています。
そんなシリング氏が偉大なイノベーターたちの生涯を丹念にひもとき、「孤立意識」「並外れた自信」「高遠な目的」「時代がもたらす機会」「リソースへのアクセス」といった共通点を明らかにしています。本書からは、彼らは特別な能力や性格、動機を備えていただけでなく、時期や場所、人的ネットワークを巧みに活用していたことがわかります。
この本の真価は、イノベーターたちの生涯を、単なる「真似できない天才の物語」で終わらせていない点にあります。上掲の「1人で過ごす時間をつくる」ことをはじめ、「規範やパラダイムを疑問視する」「自己効力感を高める」「フロー(プロセスを楽しめる仕事)を見つける」「知的・技術的資源にアクセスできる機会を増やす」など、本書が示すアドバイスには、ビジネスパーソンが日々の生活の中で実践できるものも数多くあります。
イノベーターがなぜ特別なのかを理解すれば、私たちの内に眠る可能性を育てる方法もおのずと見えてくるでしょう。『世界を動かすイノベーターの条件』は、新規事業や企画に携わる人はもちろん、閉塞感を打ち破るきっかけを探しているすべてのビジネスパーソンにお薦めしたい1冊です。




