今日、5月18日は「ことばの日」です。
一般社団法人日本記念日協会のホームページによれば、この記念日は、言葉を大切に使い、言葉によって人と人とが通じ合えることに感謝し、言葉で暮らしをより豊かにすることを目的として制定されたとのことです。
日付は、言葉の「葉」が5月の新緑の瑞々しさを表しているとの思いと、5と18で「こ(5)と(10)ば(8)」と読む語呂合わせからきているそうです。
「ことばの日」に名言を読む
さて、書物の中には、古今東西の名著の中から印象深い言葉ばかりを集めた「名言集」というジャンルが存在します。収められた1つ1つの言葉は、まるで漢方薬のように私たちの悩みにじんわりと効き、時に成長を促してくれます。
今回はそうした名言集の中から、「ことばの日」に読んでいただきたい1冊として、『中国名言集 一日一言』(井波律子 著/岩波書店 刊)をPick Upします。中国文学者である著者が、中国の史書、詩文、随筆などから、時代を超えて生き続ける366の名言を厳選し、解説を添えて紹介した良書です。
中国古典の名言といえば、「故事成語」として学生時代に習った方も多いかもしれません。本書はそうした誰もが知る名言から、隠れた金言、人生の機微を映し出すことわざまで、多種多様の言葉を味わうことができます。
人生や仕事に役立つ名言
『中国名言集』には、人生や仕事へのヒントを与えてくれる言葉が数多く収められています。その1つに、『論語』の「人の己(おのれ)を知らざるを患(うれ)えず 人を知らざるを患うる也」があります。
これはどのような意味でしょうか? 著者は次のように解説します。
孔子の言葉(『論語』学而篇)。「自分が人から認められないのは悩みではなく、自分が他の人のよさを認められないことこそ悩みである」との意味。人が自分を評価してくれないと腹を立てるのに、他人については欠点や短所ばかりが目につくのは、誰しもありがちなこと。自己中心的な見方を脱却し、(中略)こだわりなく我が道を行きたいものだ。
(『中国名言集』 39ページ)
自分の能力や、同僚・部下の能力を、色眼鏡で見ることなく評価できているでしょうか。こうした言葉を心の片隅に置いておくだけでも、自己中心的な思考を抑える助けになるように思います。
また、仕事においては、課題やプロジェクトの終了間際になって、これまでの緊張感がゆるんでしまうことがあります。その結果、思わぬ見落としやミスが発生することも少なくありません。
こうした失敗が起きた時、反省会が開かれ、今後同じミスをしないように再発防止策などが文書化されます。しかし、往々にしてその内容は長く、複雑になりがちです。一体、どれだけの人がそれを覚えていられるでしょうか?
それよりも、『戦国策』の「百里を行く者は九十を半(なかば)とす」という言葉を覚えた方がいいのでは…と思ってしまいます。この名言について、著者はこう解説します。
「百里を行こうとする者は九十里まで行ったとき、やっと半分来たと思うべきだ」との意味。これはもともと秦王(のちの始皇帝)に対し、ある人が「王は最近、驕る傾向がおありだ」と注意したとき、引用した古い詩句である(『戦国策』秦策)。「始めよければ終わりよし」ともいうが、その実、一定の調子を持続しながら「有終の美」を飾るのは至難のわざだ。何事につけ、最後まで気を抜かず完走することを心がけたいものだ。
(『中国名言集』 70ページ)
『TOPPOINT』の原稿を作成している時も、最後の仕上げが肝心です。九十里ではなく、九十九里くらいまで行って「半とす」るくらいに考えなければ…と肝に銘じています。
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このように、『中国名言集』には叡智が詰まった珠玉の言葉ばかりが収められています。短い言葉は心に残りやすく、いつまでも自分に寄り添い、時折顔を出しては励ましてくれたり、慰めてくれたりすることでしょう。気に入った言葉があれば、手帳に書き写してみてもいいかもしれません。
「ことばの日」を機に、たまにはビジネス書を離れ、古典の「ことば」の力を見直してみてはいかがでしょうか。
なお、「TOPPOINTライブラリー」には他にも中国古典の名言を集めた本として、『中国古典の名言・名句三百選』(守屋 洋 著/プレジデント社 刊)や『老子・荘子の言葉100選 心がほっとするヒント』(境野勝悟 著/三笠書房 刊)なども掲載しています。『中国名言集』に興味を持たれた方は、これらの本もおすすめします。
(編集部・小村)
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「編集部員が選ぶ今週のPick Up本」は、日々多くのビジネス書を読み込み、その内容を要約している編集部員が、これまでに『TOPPOINT』に掲載した本の中から「いま改めてお薦めしたい本」「再読したい名著」をPick Upし、独自の視点から読みどころを紹介するコーナーです。この記事にご興味を持たれた方は、ぜひその本をご購入のうえ通読されることをお薦めします。きっと、あなたにとって“一読の価値ある本”となることでしょう。このコーナーが、読者の皆さまと良書との出合いのきっかけとなれば幸いです。
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