「一分で一生の信頼を勝ち取る」
何とも「タイパ」の良さそうなタイトルに惹かれて、社内の書架から手に取った本があります。
それが、今週PickUpする『【NHK式+心理学】 一分で一生の信頼を勝ち取る法 NHK式7つのルール』(矢野 香 著/ダイヤモンド社 刊)です。
著者は、スピーチコンサルタントの矢野香氏。NHKで長年キャスターを務めてきた経歴を持つ氏が、その経験の中で培った「話し方」のテクニックを惜しみなく公開しています。
明かされるのは、NHKの「89年の歴史の中で培われた、数秒のうちに信頼される話し方のノウハウ」。いずれもシンプルながら、実践的なものばかりです。
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例えば、本書ではNHK式「7つのルール」というスキルが紹介されていますが、その1つに、「「13文字以内」でタイトルをつける」というルールがあります。これは、ニュースの際、画面下にタイトルが表示されるように、自分が話していることに「タイトル」をつける、というものです。
その際の文字数は13文字以内。なぜかというと、13文字がテレビ画面の横幅に収まる限界だからとのこと。であれば、キャスター以外の人には関係ないのでは…?
実は、そうではないようです。
矢野氏は、『最強リーダーの「話す力」』(矢野 香 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン 刊)の中でも、「13文字」の力を語っています。
キーフレーズは13文字を目安に伝えること。13文字というのは、一度に相手の頭に残る限界であり、一息で伝えきれる文字数でもあるから、と。
そうした意味で、「13文字のタイトル」は、何かを話す時の基本として、常に意識に置いておくといいでしょう。
筆者が実際にやってみて感じたのは、「13文字は、思いのほか短い」ということ(この「 」部分で13文字です)。自分が思っている以上に情報を絞らないと、相手には届かないようです。
あれもこれもと欲張った結果、「で、結局何が言いたいの?」となりがちな筆者としては、反省しきり。同じような悩みを抱える方は、ぜひ、話す前に「13文字以内のタイトルをつける」ことをお試しください。
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この「タイトルをつける」ことの利点の1つを、本書は次のように書いています。
それは、あなたがもし何を話しているかわからなくなっても、タイトルが助けてくれるのです。これまた心強い!
どういうことかというと、何を話しているかわからなくなったら、もう一度タイトルを言えばよいのです。(中略)
困ったときは焦らずに、次のようなタイトルを使ったフォーマットで話をつなぎながら、続く言葉を探しましょう。
「つまり、私がお伝えしたいのは、( タイトル )ということなのです」(『一分で一生の信頼を勝ち取る法』 43~45ページ)
話が長くなった。しゃべっているうちに内容が展開していった。そんな時、自分が何を話していたのかわからなくなることが、筆者にはよくあります。「迷子」を何とかしようとして焦ると、余計に話がちぐはぐになって泥沼に…というのがお決まりのパターン。
そんな時に、半ば無理やり悪い流れを断ち切って、「出発点」に戻してくれるのがこのテクニックです。個人的には、「いざとなったらタイトルに戻ればいい」という安心感が、話に余裕を生んでくれるように感じます。
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本書では、こうした実践的なNHK式「7つのルール」に加え、「心理学」で検証されたコミュニケーション術にも着目。2つを組み合わせ、相手から信頼される「話し方」のテクニックを披露しています。
人前でうまく話せないという人はもちろん、コミュニケーションが得意な人にとっても、「NHK式+心理学」のテクニックは得るものが多いでしょう。対面で話をする機会が再び増えてきた中、改めて自分の話し方を見直してみてはいかがでしょうか。
当初、タイパの良さに惹かれて手に取った本書ですが、今は「一分で一生の信頼を勝ち取る」ために、時間をかけて読み込み、実践したいと思っています。
なお、本書『一分で一生の信頼を勝ち取る法』は若手から経営者まで、幅広いビジネスパーソンに活かせる内容ですが、上でも紹介した『最強リーダーの「話す力」』は、よりリーダー層に重点を置いた話し方の指南書となっています。併せて読んでみてはいかがでしょうか。
(編集部・西田)
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「編集部員が選ぶ今週のPick Up本」は、日々多くのビジネス書を読み込み、その内容を要約している編集部員が、これまでに『TOPPOINT』に掲載した本の中から「いま改めてお薦めしたい本」「再読したい名著」をPick Upし、独自の視点から読みどころを紹介するコーナーです。この記事にご興味を持たれた方は、ぜひその本をご購入のうえ通読されることをお薦めします。きっと、あなたにとって“一読の価値ある本”となることでしょう。このコーナーが、読者の皆さまと良書との出合いのきっかけとなれば幸いです。
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