2012年9月号掲載

笑いの治癒力

Original Title :THE HEALING POWER OF HUMOR

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著者紹介

概要

自称“愉快学者”の著者は言う。「ユーモアは逆境に立ち向かい、乗り越える手助けをしてくれる」と。実際、医療現場をはじめ、ユーモアは様々な場で盛んに利用されている。まさに笑いに勝る良薬なし、である。本書では、ユーモアが有する心理的、生理的効果を解き明かすとともに、辛い時、生活の中にそれをどう取り入れればよいかを、実例を交え具体的に説く。

要約

もっと笑いを

 妻のエレンが病院で死の床についていた時のこと。ある時、そばにあった『プレイガール』の男性ヌードの折り込みページを開くと、その全裸写真を壁に張ってほしいと言いだした。

 「病院にはちょっとどうかな。相当きわどいよ」

 「平気、平気、お遊びよ」と妻は答えた。

 「あそこにある植物の葉っぱを1枚取ってきて、ここを隠せばいいわ」

 私は妻の言う通りにした。その日は何事もなかった。翌日も無事だった。だが3日目、葉っぱが干からび始め、隠していた部分が段々見えてきた。

 その干からびた葉っぱに目をやるたびに、私たちは笑った。そのはしたない楽しみはほんの10秒か20秒しか続かなかったが、それでも私たちは気持ちが触れ合うのを感じたし、元気が出た。

 ユーモアはほんの束の間ではあったが、2人を苦しさからふと解き放ってくれて、いくらか耐えやすくしてくれた。当時のエレンの入院生活は緊張の連続、涙の連続だった。けれど彼女はいつも私を笑わせ、こう叱咤激励した。「ほらほら、そんな陰気な顔はもうやめて。あたしはまだここにいるじゃないの。まだ一緒に笑えるのよ」。

 エレンはたくさんのことを教えてくれたが、一番重要なことは、私たちは楽しむためにここに生きているということだった ―― 。

 米国のある大企業では、リストラとレイオフの計画を社員に説明するのに人形劇を使っている。テキサス州のある病院では、患者にお笑いのビデオを見せて痛みを軽減するのに役立てている。患者が病気のことばかり考えずに済むようにと、手品や曲芸を教えているニューヨークの医師もいる。

 ユーモアが医療の現場をはじめ、いろいろな場で盛んに利用されるのは、病を癒し、喪失感を埋め、正気の沙汰でない世の中で何とか正気を保っていくのに重要な働きをするからだ。

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