2012年8月号掲載

あなたの思考をガイドする40の原則 クリティカル シンキング《入門篇》

Original Title :Critical Thinking:A Functional Approach

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著者紹介

概要

人が物事を考える時、様々なバイアスがかかる。「クリティカルシンキング」とは、そうした影響を十分に自覚した上で、物事を客観的、論理的に考えようというもの。本書では、2人の心理学者が、我々が陥りがちな思考の落とし穴を明らかにしつつ、この思考法の原則を説く。1巻本の原著を2分冊にしたもので、原著の後半は《実践篇》として刊行されている。

要約

クリティカルな思考とは?

 クリティカルな思考とは、一体何だろうか。

 クリティカルという言葉の本来の意味は「物事を規準に照らして判断する」ことだ。ここから、クリティカルな思考とは「適切な規準や根拠に基づく、論理的で、偏りのない思考」と定義できる。

3つの要素

 クリティカルな思考には、次の3つの主要な要素が含まれる。

  • ①問題に対して注意深く観察し、じっくり考えようとする態度
  • ②論理的な探究法や推論の方法に関する知識
  • ③それらの方法を適用する技術

 この中で最も重要なのは、①である。だが、クリティカルな思考の態度を身につけることは容易ではない。運動にせよ、読書にせよ、すべからく「良い習慣」を身につけるには、それまで惰性でやってきた習慣を変える努力が必要だからだ。

クリティカルな思考をする人の特性

 では、具体的にはどうすればよいのか。

 クリティカルな思考をする人には、次の10の特性がある。こうした面を伸ばすようにする。

  • ①知的好奇心:様々な問題に興味を持ち、答えを探そうとする
  • ②客観性:何事かを決める時、感情や主観によらず、客観的に決めようとする
  • ③開かれた心:様々な立場や考え方を考慮する
  • ④柔軟性:自分のやり方、考え方を改められる
  • ⑤知的懐疑心:十分な証拠が出るまで結論を待つ
  • ⑥知的誠実さ:自分と違う意見でも、正しいものは正しいと認めることができる
  • ⑦筋道立っていること:きちんとした論理を積み重ねて結論に達しようとする
  • ⑧追求心:決着がつくまで考え抜き、議論する
  • ⑨決断力:証拠に基づいてきちんと結論を下す
  • ⑩他者の立場の尊重:他人の方が正しい場合は、それを認めることができる

「思考の原則」が正しい結論へと導く

 クリティカルな思考を伸ばすための有効な手段は、「思考の原則」を知ることである。

 例えば、我々の日々の思考の大部分を占めているのは、出来事の原因や人々の行動の理由を推測することである。これを専門用語で「原因帰属」という。「Aが生じた原因はBにある」というように、出来事の原因を特定することをいう。

 例えば、我々は他人の行動の理由を考える時、その人を取り巻く周囲の状況からの影響を軽視し、その人が持つ性質の影響を重視しがちである。

 ある人が階段を踏み外して怪我をすると、階段が滑りやすかったのだろうと考えるより先に、彼は何とドジなのかと考えがちだ。この種の思考の偏りを、心理学では「基本的帰属錯誤」と呼ぶ。人間関係の中で生じる誤解の多くはこれが原因だ。

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