2026.5.11

編集部:油屋

なぜ、休んでも疲れは取れないのか? 多くの人が見落としている“原因”と回復法を紹介

なぜ、休んでも疲れは取れないのか? 多くの人が見落としている“原因”と回復法を紹介

 ゴールデンウィークが明け、こんな違和感を覚えていないでしょうか。

 「ちゃんと休んだのに、なぜか疲れが抜けない」
 「やる気が続かない」
 「このままで大丈夫なのか不安になる」

 いわゆる「5月病」と呼ばれる症状ですが、実はこの不調、単なる“気の緩み”ではありません。
 むしろ問題は、「休み方」を間違えていることにあります。

 なぜ、私たちは休んでも疲れが取れないのか。
 そして、どうすれば本当に回復できるのか。

 その原因と正しい対処法を学べる本、『精神科医がすすめる 疲れにくい生き方』(川野泰周 著/クロスメディア・パブリッシング 刊)を今週はPick Upします。

休んでも疲れが取れない“本当の理由”

 多くの人は、疲れの原因を「体」にあると考えています。
 だから、疲れた時には十分な睡眠や栄養ある食事をとろうとしたり、ゆっくり過ごしたりしようとします。

 もちろんそれ自体は大切です。しかし、それでも回復しないケースがあります。
 その理由はシンプルです。疲れは“体”ではなく“心や脳”にもあるからです。

 精神科医で、臨済宗の禅僧でもある著者の川野泰周氏は、疲れを次の3つに分類しています。

 

①身体の疲れ(肉体の疲れ)
②ネガティブな感情によるもの(心の疲れ)
③マルチタスクによるもの

(『精神科医がすすめる 疲れにくい生き方』 19ページ図より一部抜粋)

 

 そして、回復しにくいのは「心の疲れ」に原因があると指摘しています。

 

・ノルマに追われてプレッシャーを感じている
・職場の人間関係でトラブルを抱えている
・家庭に問題があって悩んでいる
このような悩みがもとになっている疲れの場合、身体を休ませただけでは回復が難しいものです。重要なのは、私たちが抱える疲れの原因の大部分は、心理的要因であるということです。

(『精神科医がすすめる 疲れにくい生き方』 5~6ページ)

 

 もしも、ゴールデンウィーク中に十分な睡眠を取ったり、栄養のある食事を摂ったりしてしっかり休んだはずなのに、「疲れが取れない」と感じているのなら、それは心が疲れているサインかもしれません。

「無理に元気になる」は逆効果

 では、心の疲れにはどう向き合えばよいのでしょうか。

 多くの人はここで、「前向きになろう」とします。
 しかし、川野氏は、「無理に元気になろうとしないこと」が重要だといいます。

 

辛い、悲しい感情に蓋をして無理やりポジティブに考えるのではなく、ネガティブな感情をきちんと受け取って、向き合い、乗り越えたとき、私たちは自然とポジティブに考えられるようになるのです。

(『精神科医がすすめる 疲れにくい生き方』 41ページ)

 

 つまり、「つらい」と感じている自分を否定しないこと。「今、自分の心が苦しいんだな」と気づいてあげること。それが、回復の第一歩になると川野氏は言います。

あなたを疲れさせる「マルチタスク」

 もう1つ、見落とされがちな疲労の原因があります。それが、「マルチタスク」です。

 人間の脳は本来、「一度に1つのこと」にしか集中できません。それにもかかわらず、仕事でもプライベートでも複数のタスクを同時に抱え続けていれば、脳は休まる暇がなくなります。その結果、疲れが生じて集中力の低下や判断力の鈍化に陥ってしまうのです。

 

たとえば休日に「来週はあのプレゼンがあるな……」「来週の会議ではこれを提案しよう」「あのメール返さなきゃ」などと考え続けてしまうことはありませんか。
これは一見休んでいるように見えて、脳はいろいろな考えごとに従事していて、いわばいくつもの仕事を同時にし続けている状態です。
すると、脳のオンとオフの切り替えがうまくいかずに、「身体は休んでいるのになぜか疲れが取れない」という現象が起こるのです。

(『精神科医がすすめる 疲れにくい生き方』 7ページ)

 

 マルチタスクの問題は、これまでに『TOPPOINT』でご紹介した他のビジネス書、『奪われた集中力 ――もう一度“じっくり”考えるための方法』(ヨハン・ハリ 著/作品社 刊)や『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン 著/新潮社 刊)などでも指摘されていることです。

疲れを抜く人は「気づいている」

 では、この問題を解決するにはどうすればいいのでしょうか?
 『精神科医がすすめる 疲れにくい生き方』が提案するのが、「自分の疲れに気づく力」を養うことです。

 

私たちは自分の疲れに気づけなければ、それを軽減させようとか、休ませてあげようとは思いつきません。つまり疲れを知ることができなければ、疲れを解消させることもできないのです。

(『精神科医がすすめる 疲れにくい生き方』 148ページ)

 

 そのための取り組みの一例として、川野氏が勧めるのが、坐禅を日々の習慣に取り入れることです。呼吸や身体感覚に意識を向けることによって、「これは心の疲れだ」「脳の使い過ぎだ」といったように、自分の疲れの種類に気づけるようになるといいます。
 そして、自分の疲れの種類に気づくことができれば、それに適したセルフケア法を見つけられるようになる、と川野氏は述べています。
 例えば、心の疲れなら、休日はリラックスできる場所で過ごす。マルチタスクの仕事で脳が疲れているなら、デジタル機器から離れてみる。
 この「見極め」ができると、疲れにくい生き方ができるようになると氏はいいます。

 『精神科医がすすめる 疲れにくい生き方』では、本記事で触れた内容以外にも、疲れのタイプ別に具体的な対処法が解説されています。
 「疲れの原因はわかったけれど、自分の場合どうすればいいのかわからない」 ―― そう感じている方は、「TOPPOINTライブラリー」の要約、もしくは原本をご一読ください。

(編集部・油屋)

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 「編集部員が選ぶ今週のPick Up本」は、日々多くのビジネス書を読み込み、その内容を要約している編集部員が、これまでに『TOPPOINT』に掲載した本の中から「いま改めてお薦めしたい本」「再読したい名著」をPick Upし、独自の視点から読みどころを紹介するコーナーです。この記事にご興味を持たれた方は、ぜひその本をご購入のうえ通読されることをお薦めします。きっと、あなたにとって“一読の価値ある本”となることでしょう。このコーナーが、読者の皆さまと良書との出合いのきっかけとなれば幸いです。

2021年9月号掲載

精神科医がすすめる 疲れにくい生き方

十分休んだのに疲れが抜けない…。その原因は身体ではなく、脳にあるのかもしれない。チャットをしながら食事するなど“マルチタスク”だらけの日常を送ったり、ネガティブな感情を持ったりすると、「脳の疲れ」がたまりやすいのだ。精神科医で禅僧の著者が、そんな現代人ならではの疲れのメカニズムを説き、対処法を指南する。

著 者:川野泰周 出版社:クロスメディア・パブリッシング 発行日:2021年7月
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