2025年も早2週間が過ぎました。遅ればせながら、本年もよろしくお願いいたします。
新しい年が始まり、「今年こそは自分を変えたい」と思っている方は多いのではないでしょうか?
体型を整えたい、禁煙をしたい、悪い習慣を断ち切りたい…。昨年、39度超えの熱を2回出した私としては、今年は一層健康に留意して日々を過ごしたいと思っています。
ただ、ダイエットや禁煙は自分のためになるとわかっていても、なかなか実行できないものではないでしょうか。「忙しいから」「今さら変わるのは無理」と、ついつい後回しにしてしまうことも少なくありません。
そんな悩めるビジネスパーソンにぴったりの1冊を、今週はご紹介します。『脱「でぶスモーカー」の仕事術 なぜ“わかっていてもできない”のか』(デービッド・メイスター 著/日本経済新聞出版社 刊)です。
なぜ人は実行できないのか?
『脱「でぶスモーカー」の仕事術』の著者、デービッド・メイスターはハーバード・ビジネススクールで教授を務めた経験を持つ、マネジメントに関する世界的権威です。大学教授からコンサルタントに転身してからは、戦略やマネジメントの様々な問題を扱い、2002年には「世界の思考者(ビジネス・シンカー)トップ40」の1人に選ばれています。
そんなメイスター氏は様々な人・企業を見る中で、次のように感じたと言います。
「何を」すべきかはわかっていて、「なぜ」そうすべきかも「どう」すべきかもわかっている。しかし、ほとんどの会社や個人は、結局自分のためになることをしようとしない。
(『脱「でぶスモーカー」の仕事術』 19〜20ページ)
つまり、多くの人は、何をすれば現状をより良くできるか、それをすることでどんなに良いことがあるか、といったことは頭ではわかっているものの、それを実行できていないということです。ちなみに、書名にある「でぶスモーカー」とは、メイスター氏がかつては太っていて喫煙者だったことに由来します。彼自身も、運動や禁煙は重要だとわかっていながら、なかなか行動には移せなかったそうです。
ではなぜ、人や企業は「自分のためになる」とわかっていながら、行動に移せないのでしょうか?
その理由を、メイスター氏は次のように解説します。
改善しなければならないとわかっている行動に取りかからないいちばんの理由は、報酬(そして喜び)が将来にあるのに対して、改善のための我慢、不快、規律は目のまえにあることだ。
(『脱「でぶスモーカー」の仕事術』 20〜21ページ)
これはダイエットに取り組んだ経験をお持ちの方であれば、非常に納得のいくものではないでしょうか。痩せるためには、今のライフスタイルを変えて、健康習慣を長く維持する必要があります。そのためには大好きなスイーツを我慢したり、仕事で疲れていてもウォーキングをしたりすることも重要となるでしょう。ただ、我慢を続けてもなかなか効果が出ない(体重が減らない)場合は、結果が出ないことにいら立ち、ふとした瞬間に努力することをやめて、かつてのパターンに戻ってしまう ―― 。「自分のためになる」とわかっていながら、なかなか行動が定着しない背景には、こういった原因があるのです。
「でぶスモーカー」がやる気になるには?
上記の要因を踏まえ、『脱「でぶスモーカー」の仕事術』では、人や組織にやる気を起こさせ、変化をもたらす方法をいくつか紹介しています。
その1つが、「日々の習慣にする」というものです。
理にかなった戦略が実行段階で失敗してしまう大きな理由は、実質的な改善に必要な労力を過小評価していることだ。(中略)
エクササイズの効用が継続的に得られるのは、それが毎日の歯磨きやシャワーと同じくらい自然な習慣になったときだ。たとえ一時的に激しく活動して得られた短期的な成果があったとしても、習慣になっていなければ、その成果は危うい。活動を特別なイベントではなく、日々の習慣にしなければならないのだ。(『脱「でぶスモーカー」の仕事術』 26〜27ページ)
では、特定の活動を習慣にするにはどうすればいいのでしょうか?
『TOPPOINT』ではこれまでに、そのヒントとなる書籍をいくつかご紹介しています。
例えば、あらゆる物事を習慣化するコツを説いた、『30日で人生を変える 「続ける」習慣』(古川武士/日本実業出版社)では、習慣化に挑戦する時には、次の3原則を守ることが大切だと述べています。
原則1 1つの習慣に絞る【同時にいくつもやらない】
原則2 有効な1つの行動に絞り込む【行動ルールを複雑にしない】
原則3 結果より行動に集中する【結果にこだわりすぎない】(『30日で人生を変える 「続ける習慣」』 68~70ページより抜粋)
また、デジタル機器が人間の生活に与える影響や、その中で集中力を保つ方法などを説いた『ATTENTION SPAN(アテンション・スパン) ――デジタル時代の「集中力」の科学』では、自分の行動をコントロールし、望ましくない行動に走らないようにする上で、「人間の行為主体性(ヒューマン・エージェンシー)」という考えを紹介しています。
これは「主体性を持って行動する」、つまり自分の望むように行動をコントロールし、望ましくない行動に走らないようにするというものです。その一例として、次のような方法を紹介しています。
たとえば、ソーシャルメディアを見る前に、「このサイトを見ることで何が得られるか」と自問する。すでにクリックしてしまったあとなら、「私はここでどれだけの時間を費やしたか? これを見続けることで何か得られるものはあるか?」と自分に問いかけてみよう。(中略)
私はこのような自問自答を意識的におこなうことで、漫然とネットニュースやソーシャルメディアを眺める習慣から脱することができた。(『ATTENTION SPAN』 293ページ)
このように、自問する習慣を身につけることは、やめたいと思いながらもついやってしまう行動(上の例の場合はネットニュースをつい読んでしまう行動)を意識し、改めることにつながるでしょう。
このように、新たな習慣を身につけるには様々な方法があります。「TOPPOINTライブラリー」で「習慣」に関するいくつかの書籍を読んでみて、興味を持ったものを生活に取り入れれば、「でぶスモーカー」を脱することができるかもしれません。
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『脱「でぶスモーカー」の仕事術』では、個人だけでなく企業が「でぶスモーカー」状態から抜け出す方法を指南しています。個人に限らず、企業でも「わかっているけどやめられない」習慣は少なからずあるのではないでしょうか。そうした行動を改善したいと願うリーダーにとって、本書はきっと多くのヒントを与えてくれるはずです。
(編集部・油屋)
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「編集部員が選ぶ今週のPick Up本」は、日々多くのビジネス書を読み込み、その内容を要約している編集部員が、これまでに『TOPPOINT』に掲載した本の中から「いま改めてお薦めしたい本」「再読したい名著」をPick Upし、独自の視点から読みどころを紹介するコーナーです。この記事にご興味を持たれた方は、ぜひその本をご購入のうえ通読されることをお薦めします。きっと、あなたにとって“一読の価値ある本”となることでしょう。このコーナーが、読者の皆さまと良書との出合いのきっかけとなれば幸いです。
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