2024年6月号掲載

ATTENTION SPAN(アテンション・スパン) ――デジタル時代の「集中力」の科学

Original Title :ATTENTION SPAN:A Groundbreaking Way to Restore Balance, Happiness and Productivity (2023年刊)

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著者紹介

概要

「ATTENTION SPAN(アテンション・スパン)」とは「集中時間」のこと。絶え間ないメールやウェブ会議、SNS…。IT時代の今、注意散漫に悩む人は多い。本書は、デジタル機器が人に及ぼす影響を研究する心理学・情報科学者が、「集中力」について説くものだ。デバイスやマルチタスクの影響、集中力を保つ「主体性」の育み方などを、科学的根拠を基に示す。

要約

限りある認知リソース

 コンピュータやスマートフォン、インターネットの普及によって、私たちとテクノロジーとの関係は急速に変化した。中でも、集中力を必要とする行動の変化は著しい。

 いま私たちは、1日のかなりの時間をデジタル機器の前で過ごしている。では、デバイスの使用は、どんな点で集中力に影響を与えているのか。

集中を管理する「実行機能」

 私たちが何かに集中する時には、「実行機能」と呼ばれる精神のプロセスを利用する。

 実行機能はいわば心の統治者だ。それは、タスクの優先順位づけや切り替え、集中の維持と割り当てといった異なるタイプの処理を管理している。

 簡単なタスクの場合、この統治者は完璧に働く。

 問題が生じるのは、タスクとその管理が複雑になった時だ。例えば、手元のタスクに集中していても、突然別のことが割りこんでくると、中断したタスクを頭の隅に置きつつ、新たな仕事に集中しなければならない。この状態が長く続くと、負荷がかかりすぎた心の統治者は目標に向かって進むことが難しくなり、成果に影響が出はじめる。

認知リソースの量は限られている

 研究の成果として広く受け入れられた心理学の考え方がある。私たちの精神には集中や認知リソースの汎用的な蓄えがあるというものだ。利用可能な集中の量と言い換えてもいいだろう。大前提として、人が情報を処理する時にはこのリソースが必要となり、リソースの蓄えには限度がある。

 そして私たちの精神活動は、利用可能な認知リソースの量だけでなく、タスクの種類や難易度、同時にこなそうとするタスクの数にも影響される。

 私たちが集中したい時に何度も邪魔が入り、複数のタスクを切り替えていると、疲労困憊してしまうのはそのせいだ。

集中が活発に切り替わる「動的集中」

 複数のアプリやサイト、あるいはコンピュータとスマートフォンなどの間で集中が活発に切り替わる状態を「動的集中」という。

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