2024年4月号掲載
罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法
- 著者
- 出版社
- 発行日2024年2月12日
- 定価1,012円
- ページ数251ページ
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著者紹介
概要
増える業務量、縮む給与差、高い死亡率。今の日本では、管理職として働くことが「罰ゲーム」と化している。働き方改革の恩恵も得られず、管理職の負担はむしろ増えているとのデータもある。彼らはなぜ、こうした苦境に陥ったのか? その原因を、国際比較を含む多数のデータで分析。疲弊する現場を救うための解決策を示す。
要約
管理職の「罰ゲーム化」とは何か
今、管理職として働くということが「罰ゲーム」と化してきている。
罰ゲームとは、ただのイメージの話ではない。現場には厄介な課題が発生し続け、現役の管理職からはこんな声が聞かれる。「会議ばかりで自分の仕事ができない」「メンタルヘルスの不調で、常に部下が欠けた状態で働いている」「若手社員がみな主体的に動いてくれない」…。
この罰ゲーム化の影響は深刻だ。管理職ポストの後継者不足やイノベーション不足、さらには管理職本人の自殺という悲劇にまでつながっている。
管理職の「負荷」の現状
管理職の「負荷」の現状はどうなっているのか。
全国の中間管理職(係長・課長など、現場に最も近い管理職)2000人を対象に調査したところ、近年、「業務量の増加」を感じている管理職は、52.5%と半数を超えていた。では、具体的にどのような役割に負担を感じているのか。
調査では、「組織内のトラブルや障害を解決する」「部下との定期的な面談を行い、フィードバックを行う」「部下のモチベーションを維持・向上させるコミュニケーションを実行する」の3つが同率1位で、最も負担感が高かった。
経営層や上位管理職の方針を現場に伝えつつ、フィードバックしてモチベーションを上げ、育成プランを考える…。こうした部下とのコミュニケーション全般に高い負荷を感じている状況だ。
減り続けた管理職の数と賃金
負担感が高くても、企業が処遇や評価で報いているならば、まだ理解できる。だがこうしたわかりやすいメリットは、時代とともに変化している。
この数十年で、日本の雇用社会は大きく変わった。まず、管理職の「数」である。
バブル崩壊以降、日本企業が行った施策に「組織のフラット化」がある。旧来のピラミッド型組織を平らにし、階層を減らし意思決定を速くしよう、というものだ。階層が減るから管理職も減り、結果的に管理職1人当たりの部下の人数は増える。
統計学者の本川裕氏が国勢調査をもとにまとめたデータを見ると、管理職の割合は1980年の4.7%をピークに長期的な低下傾向を示しており、2005年には約半分の2.4%にまで低下している。