2019年2月号掲載

ギグ・エコノミー襲来 新しい市場・人材・ビジネスモデル

Original Title :Thriving in the Gig Economy

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著者紹介

概要

“ギグ・エコノミー”とは、「期間が不確かな臨時の仕事=ギグ」を支えるビジネスの仕組みのこと。米国では今、約4000万人がギグを行い、総額1兆1000万ドル超を稼いでいるという。本書は、この新しいビジネスモデルの全体像を描くもの。ギグ・エコノミーの定義から、現状、企業と労働者にとっての未来までをわかりやすく説く。

要約

「ギグ・エコノミー」とは何か

 「ギグ・エコノミー」 ―― 。この新しい仕事の世界を指す言葉は、人によって違う意味に受け止められている。

 そこでまず、何がギグ・エコノミーで、何がそうでないのか、出発点に立ち返って見ていこう。

ギグ・エコノミーの定義

 ある辞書サイトは、「ギグ」(gig)の意味として、次のように説明する。

 「あらゆる種類の仕事。特に短期間、あるいは期間が不確かなものを指す」

 この言葉は、特に大恐慌のさなか、企業が日雇いで労働者を使うようになる中で広まり始めた。

 高度な技能が関わる仕事にギグが使われ出したのは、1980年代。当時の企業再編で雇用のあり方が一変した。M&A(合併・買収)による企業の大規模な統合、ダウンサイジング(規模の縮小)と呼ばれる人員整理が行われた。さらに「ジャスト・イン・タイム」(適時適量)の経営哲学が加わり、管理部門で多くのポストが廃止された。

 このことが、現代のフリーランスの最初の波を生み出した。経理やマーケティング、人事などの主要分野で、独立したコンサルタントが大挙して現れたのだ。90年代には通信と移動の自由度が高まり、その流れがさらに強まった。

 そして、モバイル通信やアプリの普及などにより、生活を便利にしてくれる誰かを見つけたり、配車サービスのウーバーで行きたい所へ行ったりすることが手頃な値段でできるようになった。大半の人にとって「オンデマンド・エコノミー」は、この利便性を意味している。

オンデマンド・エコノミー

 上述のオンデマンド・エコノミーはギグ・エコノミーの一部分であり、デジタルな市場から生まれ、モノやサービスへの「即時的」なアクセスを通じて顧客のニーズを満たす経済活動を指す。

 ここでポイントとなる即時性は、相対的な概念だ。例えば、私が今、どこかに行く必要があるという場合、ウーバーのドライバーに可能な限り早く来てもらいたいということを意味する。実際、30分でも長い待ち時間だ。

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