絶望を希望に変える経済学

Original Title :Good Economics for Hard Times

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著者紹介

概要

今、世界は数々の難問を抱えている。不平等の拡大、移民問題、貿易戦争、環境問題…。だが、解決に向け、建設的な議論や行動を促すのではなく、責任を転嫁し、怒りを煽る政治指導者は少なくない。こうした現状に対し、2人のノーベル経済学賞受賞者が提言。より良い世界を築くべく、問題点を整理し、なすべきことを示す。

要約

不平等はなぜ拡大したか

 今、世界各国で、移民、貿易、不平等、税制、政府の役割などの問題について議論されている。

 現代の危機において、重要な役回りを演じているのが経済学と経済政策だ。経済成長は優先すべき課題なのか。他にどんな課題を優先すべきか。急拡大する不平等に打つ手はあるのか…。

 経済学者は、こうした問題について言いたいことがたくさんある。例えば、「不平等」については、次のように考えている。

ラッダイト運動

 ロボットが次第に高度化し、人工知能(AI)が進化するにつれて、人々は懸念を募らせている。仕事がなくなるのではないか、その結果として、不平等が拡大したら社会はどうなるのか、と。

 自動化の大波。これは過去にもあった。自動紡績機、蒸気機関、電気は、今日のAIと同様、多くの仕事を自動化し、人間の手を不要にした。

 その時に起きたのは、今日まさに懸念されていたことだった。多くの産業で労働者が機械に取って代わられ、労働者は不要になったのだ。

 とりわけ打撃を受けたのが、繊維産業に従事していた職人である。彼らは怒りを爆発させ、19世紀初めに「ラッダイト運動」を起こす。機械化に抗議するため、機械を叩き壊したのだ。

 ラッダイトという言葉は、今日では進歩を頭から否定する頑固者を指し、技術が失業を生むという懸念を否定する目的で引用されることが多い。いわく、ラッダイト運動家たちは間違っていた、仕事はなくならなかったし、賃金も生活水準も大幅に改善された、と。

 だがラッダイトは、間違っていたわけではない。産業革命の中で熟練職人の仕事は消えた。長期的には全ての人の生活が上向いたと言われるが、その「長期」は本当に長かった。英国のブルーカラーの賃金は1755~1802年に半減。1755年の水準を回復したのは1820年で、65年を要した。

 英国で技術が猛烈な勢いで進歩したこの時期は、同時に貧困が深刻化した時期でもあった。

自動化は行き過ぎか?

 では、自動化に向かう動きを止めるべきか?

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