2021年1月号掲載

グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界

Original Title :COVID-19:The Great Reset (2020年刊)

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著者紹介

概要

歴史的に見て、感染症は「グレート・リセット」 ―― これまでの経済や社会のあり方を覆す引き金となった。今回の新型コロナもそのようだ。では、成長率重視の経済の行方は。気候変動など環境問題はどうなるのか。人と人との絆、行動に及ぼす影響とは。世界経済フォーラム創設者らが、次に訪れる新たな世界を読み解いた。

要約

経済のリセット

 新型コロナウイルス感染症が、世界中で蔓延している。

 歴史を顧みると、感染症は「グレート・リセット」 ―― 国の経済や社会機構を組み直す大きな契機となってきた。では、今回はどうか? 経済、社会、環境、テクノロジー、個人…。様々な分野で何が起ころうとしているか、展望してみよう。

将来の成長予想図

 現時点の予想では、ポストコロナ時代の経済成長率は、過去数十年に比べてかなり低い水準にとどまり、それが「ニューノーマル(新常態)」経済の特徴になりそうだ。ほとんどの国は、パンデミック以前の規模に戻るには何年もかかるだろう。

 そして今後、経済成長に「固執」することが果たして有益なのか、と思う人が増えていくかもしれない。そうした人々はいずれ、GDP(国内総生産)の成長を目指すのは意味がない、という結論に達するだろう。

 幸福度は、1人当たりGDPだけでは測れない。もし私たちが、幸福かどうかを左右するのは物的消費の多さよりも、医療サービスの充実度や社会構造の安定性といった無形の要素だと気づけば、多くの人が環境を尊重し、他人に共感し、寛容に振る舞うことに、より大きな価値を見いだし、これらが新しい社会規範の特徴になるかもしれない。

予想される経済成長の方向性

 では、何がポストコロナ時代の経済を質的によりよい方向にシフトさせる新しい原動力になり得るのか。候補となる分野はいくつかある。

 例えば、環境に優しい経済は、グリーンエネルギーヘの移行や循環経済の構築など、様々な方法で実現可能だ。生産と消費を従来の「資源の投入、生産、廃棄」モデルから「復元可能、再生可能に設計」する方式に切り替え、耐用年数に達した製品を再び使えるようにすれば、資源を節約でき、廃棄物を最小限に抑えることができる。

 加えて、イノベーションが進み、新しい雇用を生み、経済成長にもつながる。

社会的基盤のリセット

 コロナ感染症によって、大きな変動が社会そのものにももたらされた。この混乱は今後、何年も、ことによると何十年にもわたって続くだろう。

 各国で社会基盤のリセットがどのような形で生じるのか、正確に示すには時期尚早だが、大まかな輪郭は描くことができる。

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