2020年9月号掲載

ポストコロナの経済学 8つの構造変化のなかで日本人はどう生きるべきか?

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著者紹介

概要

新型コロナウイルスが収束すれば、元の世界が戻ってくるというのは、完全な幻想である ―― 。こう断言するエコノミストが、コロナショックが経済にもたらす影響や、今後、起きると予想される「グローバルな構造変化」について詳述する。ポストコロナ時代を見据え、どう生きるかを考える上で、必要な視座が得られる1冊。

要約

ポストコロナ時代のグローバルな構造変化

 新型コロナウイルス感染症が収束すれば、元の世界が戻ってくる ―― 。これは完全な幻想だ。

 歴史的にみると、感染症の拡大とグローバリゼーションはセットであり、近年の地球環境破壊の深刻さなどを勘案すると、今後も人類は様々な感染症に悩まされ続けることになる。

 加えて、ポストコロナの時代は、それ以前と全く異なる世の中に変わる。以下に示す「8つのグローバルな構造変化」が起き、「新常態(ニューノーマル)」と呼ばれる新しい世界が始まるのだ。

①利益至上主義から「ステークホルダー資本主義」へ

 第1の構造変化は、資本主義の転換である。

 2000年代に加速した、株主の利益だけを過度に重視する「グローバル資本主義」は転換点を迎え、従業員や顧客、地球環境など様々な側面に目配りをした「ステークホルダー(利害関係者)資本主義」が主流になるとみられる。

 すなわち、多様なステークホルダーが対話を通じて持続可能性の高い価値を創造する、新たな資本主義への移行である。

 歴史的にみると、資本主義の発展段階は4つに分けることができる。

 第1ステージは、資本が労働より重視された時代である。18世紀の産業革命を経て資本主義が成立した当初は、資本家の力が強く、労働者は極めて劣悪な労働環境を強いられた。

 その後、1970年代末頃から第3ステージに入る。レーガノミクスやサッチャリズムに代表される「新自由主義」全盛の時代が始まったのだ。ここでは、資本家の短期的な利益が重視され、労働者は再び厳しい立場に追い込まれた。

 そして今後、資本主義は第4ステージに入ると予想される。それは、「資本(お金)」ではなく、「労働者(ヒト)」こそが付加価値の源泉となる新たな時代だ。その胎動は着実に生じている。

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