2017年8月号掲載

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

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著者紹介

概要

人口の将来推計に基づき、日本の未来に起こり得る問題を年代順にまとめ、その対策を記した書である。2020年、女性の半数が50歳超に。2030年、百貨店や銀行、老人ホームが地方から消失。2042年、高齢者人口がピークを迎える…。こうした未曾有の事態を乗り越え、小さくとも豊かな国であり続けるための処方箋を示す。

要約

人口減少カレンダー

 日本が少子高齢社会にあることは、誰もが知る「常識」である。だが、その実態を正確にわかっている日本人は、いったいどれくらいいるのか?

 私は仕事柄、国会議員や官僚、地方自治体の首長らと接する機会が多いが、政策決定に大きな影響力を持つ彼らでさえ、正確にはわかっていない。

 日本の少子化はハイスピードで進んでいる。2016年の年間出生数は98万1000人にとどまり、初めて100万人の大台を割る様相だ。

 だが、真に懸念すべきは出生数が100万人を割ったことではなく、今後も出生数減少の流れが止まりそうにないことだ。出生数はこれから急坂を転げ落ちるように減り、2065年には55万7000人にまで落ち込むと予測されている。つまり、少子高齢化や人口減少の本番はこれからなのだ。

 では、日本の将来には、どんな事態が待ちうけているのか? 何が起こるか、2017年以降の予測を、年代順に「人口減少カレンダー」としてまとめた。その中から、いくつか見ていこう。

2017年:「おばあちゃん大国」に変化

 高齢化を考える上で、忘れてはいけないポイントがある。その主役が女性になるという点だ。男性に比べて女性の方が長寿であり、高齢化が進むほど、女性高齢者の比率が大きくなる。

 総務省の統計によれば、高齢者(65歳以上)のうち男性が1499万人に対し、女性は1962万人と、463万人上回っている。女性全体の人口に占める高齢者の割合は30.1%と、初めて3割を突破。すでに日本人女性の3人に1人は高齢者なのだ。

 2017年を人口減少カレンダーの中に位置づける時、やや大袈裟に定義するならば、日本が「おばあちゃん大国」に変化した年だといえる。

2019年:IT技術者が不足し始める

 ところが、経済産業省の調査によると、IT分野の技術者は、2019年の約92万3000人をピークとして減少に転じ、2030年には約85万7000人になると推計されている。

 IT産業への投資は堅調で、需要も伸びている。にもかかわらず、IT人材は今後、どんどん不足し、2030年の不足規模は約59万人に拡大する。このままではAI開発スケジュールは停滞し、実用化にも遅れが生じかねない。そうなると労働力不足は解消しない。

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