2016年2月号掲載

私たちはどこまで資本主義に従うのか 市場経済には「第3の柱」が必要である

Original Title :REBALANCING SOCIETY:Radical Renewal Beyond Left, Right, and Center

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著者紹介

概要

“経営学の巨匠”が、資本主義の暴走に警鐘を鳴らす。今日の米国では、上位1%の富裕層に富が集中し、大企業は政治献金を通じて、自分たちに有利なように政治を動かしている。こうしたバランスを欠く社会を再生するには、企業、政府の他、NGOや社会事業などから成る「多元セクター」が、社会の柱として必要だという。

要約

アンバランスの勝利

 私たちの民主主義を、私たちの地球を、そして私たち自身を破壊しつつあるアンバランスな状況は、もうたくさんだ。

 左と右の両極を、振り子のように行き来する政治はもういらない。主権国家と地域コミュニティを蝕む経済のグローバリゼーションにも辟易だ。

 胸を痛めているのは、街頭で抗議活動を行う人たちだけではない。それよりはるかに多くの人たちが、現状を改めるべきだと思っている。

 しかし、実際に何が起きていて、どう対処すべきかは十分に理解されていない。論者によって主張はまちまちだ。そこで本書では、1つの統一的な見方を示したい。

歯止め役の弱体化が、アンバランスを招く

 現在の米国社会は、アンバランスな状態にある。

 米国社会のアンバランスの種子は、独立革命時にすでに蒔かれていた。

 当時の米国人は、自分たちのつくった憲法に「抑制と均衡」の仕組みを盛り込んだ。そうやって行政府と立法府と司法府を互いに牽制させることで、政府の力は抑制されたが、私人と民間組織の力を抑制する仕組みは設けられなかった。

 そのおかげで米国は繁栄を遂げ、経済的にも社会的・政治的にも世界の国々から発展の手本とされる国になった。

法人の台頭

 合衆国憲法に、法人に関する規定はない。ましてや、法人に自由を認める条文などない。憲法が自由を保障している対象は、個人だ。

 しかし、1886年、私有財産の権利を強化するために、法人に自然人と同等の「法による保護」が認められた。これが決定的な転機になった。個人の権利から派生する形で、営利企業に特権が与えられたのである。

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