2023.9.8

持続可能な社会の探求

持続可能な社会の探求
貧富の格差、気候変動、少子高齢化…。現代社会は様々な問題を抱えています。
これらの問題に対処するものとして、最近では、持続可能な生活への転換、資本主義からの脱却といったテーマが注目を集めています。しかし、今後どんな社会を目指すべきなのか、そのために何をどう変えていけばよいのか、現時点で見通すことはまだまだ困難ではないでしょうか。
そこで今回の特集では、持続可能な社会の構築を考えるためのヒントが詰まった良書5冊を紹介します。各々の書が描き出す未来社会の姿、その実現に向けた具体的な提言などは、私たちがこれからの選択を考える上できっと参考になることでしょう。

2020年12月号掲載

人新世の「資本論」

「人新世」とは、人間の経済活動が地球を破壊する、新たな時代のこと。実際、「100年に一度」級の異常気象が毎年、世界中で起きている。地球環境を守るには、経済成長優先の資本主義を改めねばならない。そのためのカギとなる、晩期マルクスの思想 ―― 平等で持続可能な社会を目指す「脱成長型経済」の考え方を読み説く。

著 者:斎藤幸平 出版社:集英社(集英社新書) 発行日:2020年9月

2023年7月号掲載

科学と資本主義の未来 〈せめぎ合いの時代〉を超えて

“限りない成長”と“持続可能性”。今、私たちの社会は、両者の間で揺れている。これから進むべきは、どちらの道か? 著者の答えは、後者だ。そして、科学と資本主義は“車の両輪”のような形で歩んできたとし、その過去・現在・未来を俯瞰。目指すべき、環境・福祉・経済が調和した、「持続可能な福祉社会」の像を示す。

著 者:広井良典 出版社:東洋経済新報社 発行日:2023年4月

2022年10月号掲載

Slowdown 減速する素晴らしき世界

技術変革は将来も急速に進む、経済成長は永遠に続く…。これまで、こうした考え方が、経済や政治、社会の大前提だった。だが今、あらゆることが“スローダウン”し始めている。そして、それは良いことだ。住まいも教育も改善し、過酷な仕事も減る。本書は、膨大なデータをもとに、「加速時代の終焉」と「世界の安定化」を示す。

著 者:ダニー・ドーリング 出版社:東洋経済新報社 発行日:2022年7月

2016年2月号掲載

私たちはどこまで資本主義に従うのか 市場経済には「第3の柱」が必要である

“経営学の巨匠”が、資本主義の暴走に警鐘を鳴らす。今日の米国では、上位1%の富裕層に富が集中し、大企業は政治献金を通じて、自分たちに有利なように政治を動かしている。こうしたバランスを欠く社会を再生するには、企業、政府の他、NGOや社会事業などから成る「多元セクター」が、社会の柱として必要だという。

著 者:ヘンリー・ミンツバーグ 出版社:ダイヤモンド社 発行日:2015年12月

2020年8月号掲載

NEO ECONOMY 世界の知性が挑む経済の謎

産業革命以来、モノを効率よく大量生産することで経済は成長してきた。だが、デジタル技術の進歩で、経済の構造は大きく転換しつつある。富の源泉が、モノからデータや知識など“無形資産”に移ったのだ。この大変化、「ネオ・エコノミー」における豊かさとは? リスクとは? 最新の事例を交え、新しい経済社会の姿に迫る。

著 者:日本経済新聞社(編) 出版社:日経BP・日本経済新聞出版本部 発行日:2020年5月

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