2023年も、残すところあと2週間となりました。年の瀬が迫る中、年内に終わらせなければならない仕事に追われる方も多いでしょう。
そんな忙しい日々にこそ、立ち止まって一読をお勧めしたい本があります。それが、今週Pick Upするエッセイ集『無所属の時間で生きる』(城山三郎 著/新潮社 刊)です。
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著者の城山三郎氏は、経済小説の開拓者として知られる人物です。氏は本書の中で、タイトルでもある「無所属の時間」について、こんなエピソードを披露しています。
戦後最大の財界人石坂泰三を調べていて、幾日か出張するとき、空白の1日を日程に組みこんでいることに、私は注目した。
旅先で好奇心の湧いた場所や人を訪ねるためもあるが、ただ風景の中に浸っていたり、街や浜辺を散歩したり。経団連会長や万博会長など、日本でいちばん忙しい男であるはずの時期でも、そうであった。
その空白の1日、石坂は200とか300とかの肩書をふるい落とし、どこにも関係のない、どこにも属さない1人の人間として過ごした。
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