仕事や家庭、将来に悩む8人の「おじさん」たちが、男子シンクロナイズドスイミングにチャレンジ。世界選手権で金メダルを目指す ―― 。映画『シンク・オア・スイム』は2018年にフランスで公開され、大ヒットを記録しました。
映画に登場するおじさんたちは、うつ病でひきこもったり、妻と母親に捨てられたり、ビジネスに失敗したり、ミュージシャンになる夢を捨てられなかったり…。いわゆる「中年の危機(ミッドライフ・クライシス)」の渦中にいる人たちばかり。同世代の私は、その冴えない日常に共感し、彼らの頑張る姿に感動しました。
ところで、人は長い人生の中で幸せを感じる時もあれば、落ち込む時もあります。また、何をもって幸・不幸を感じるかは、人によって異なるでしょう。にもかかわらず、中年の危機と言われるように、多くの人が中年期に同じような気持ちの落ち込みを感じるのはなぜなのでしょうか。
この疑問に答えてくれるのが、今週Pick Upする本『ハピネス・カーブ 人生は50代で必ず好転する』(ジョナサン・ラウシュ 著/CCCメディアハウス 刊)です。著者は、米シンクタンク・ブルッキングス研究所のシニアフェロー。様々な調査から、中年の危機は多くの人に訪れること、また世界的にも同様の傾向が見られることを示し、その原因が「年齢」そのものにあることを明らかにします。
この本の帯には、タイトルである「ハピネス・カーブ」について端的に述べた説明文が記載されています。
ハピネス・カーブとは? 幸福度はU字曲線を描く。30代、40代で下降し、50代で緩やかに上昇していく。
(『ハピネス・カーブ』 帯文)
ハピネス・カーブは、本書のカバーに描かれているような曲線です。このハピネス・カーブの意味することとは何でしょうか。著者は次のように述べています。
「もちろん、中年期にも満足感を得ることはできるだろう。ただ、その時期に満足感を得ることは、ほかの時期に比べると難しい」
(『ハピネス・カーブ』 114ページ)
本書によれば、若い頃、人は人生に大きな期待を持って生きています。ところが、30~40代になると、期待通りにならないことが増えてきます。そして、そのことに失望や後悔を感じると、期待していた世界と現実とのギャップがますます大きくなり、人生に不満を感じることが多くなるというのです。
では、こうした中年の危機から抜け出すには、どうすればいいのでしょうか。本書では、第8章「いま自分にできることは何だろう」において、具体的な対処法をアドバイスしています。その中からいくつか挙げると ――
・自己批判に耳を傾けない
・いまのことだけを考える
・人に話してみる
・時機を待つ
(『ハピネス・カーブ』 第8章見出しより抜粋)
冒頭に紹介した映画『シンク・オア・スイム』では、プールの更衣室でおじさんたちが1人1人、自らの身の上を語っていくシーンがあります。上記のアドバイスに沿って考えると、これは「人に話してみる」ということ。それによって彼らは癒され、同世代の話を聞くことで、「中年期に不安感を抱くのは特別なことではない」という気持ちになれたのではないでしょうか。
また、シンクロに集中することで「いまのことだけを考える」ことができ、ポジティブな感情も増したと考えられます。ちなみに、彼らはシンクロの練習で徐々に結束を強めていき、それとともに、プライベートの問題も少しずつ改善していきます。
中年期を迎えると、幸福度が下がる。だが、それはいずれ上昇に転じる。そう考えておくことで心に余裕ができ、対策を練ることができます。そうすれば、より充実した人生を送れるのではないでしょうか。今回ご紹介した『ハピネス・カーブ』は、そのためのアドバイスが詰まった1冊です。
(編集部・小村)
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「編集部員が選ぶ今週のPick Up本」は、日々多くのビジネス書を読み込み、その内容を要約している編集部員が、これまでに『TOPPOINT』に掲載した本の中から「いま改めてお薦めしたい本」「再読したい名著」をPick Upし、独自の視点から読みどころを紹介するコーナーです。この記事にご興味を持たれた方は、ぜひその本をご購入のうえ通読されることをお薦めします。きっと、あなたにとって“一読の価値ある本”となることでしょう。このコーナーが、読者の皆さまと良書との出合いのきっかけとなれば幸いです。
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