新年度が始まりました。
新卒で社会に踏み出した方、新たなチームに加わった方、マネジャーに昇格した方など、多くのビジネスパーソンが環境の変化の中にいるのではないでしょうか。
そんな方々は、新しい環境で早く成果を出したいという気持ちでいるでしょう。では、そのためには何が必要でしょうか。スキルや経験ももちろん重要ですが、それ以上に見落とされがちなのが、自身の「強み」の把握と活用かもしれません。
自分が何に適していて、どのような価値を発揮できるのか。この点を理解しないままでは、努力が空回りしてしまう可能性があります。逆に、強みを起点に行動すれば、成果への道筋はより明確になります。
「できないこと」より「伸ばせるもの」に目を向ける
そこで、今週Pick Upするのは『さあ、才能に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー 2.0』(トム・ラス 著/日本経済新聞出版社 刊)。2001年の刊行以来、累計150万部を超える名著です(現在は最新版が流通)。
本書は10万件以上のインタビュー調査からわかった、「競争性」「個別化」などの人々に共通する34の資質、すなわち強みを紹介し、それぞれの資質に応じた行動アイデアや、その資質を持った人との働き方について解説しています。
著者は、できないことに注力するのではなく、自分の強みを理解し、才能を伸ばすことにエネルギーを注ぐことの大切さを説いています。
分野に関係なく、自分の「強み」を伸ばす機会を持つことは、職種や肩書、そして給料の額よりも、成功するために重要なことなのである。能力重視の傾向が強まっている今日の社会で自分が何に適しているかを把握するためには、自分の「強み」を知り、それを伸ばしていく必要がある。
(『さあ、才能に目覚めよう 新版』 17ページ)
しかし、強みを伸ばしていく必要があると言われても、自分の強みが何なのか言語化するのは難しいもの。そこで役に立つのが、本書と連携するウェブテスト「ストレングス・ファインダー」(現クリフトン・ストレングス)です。
34の資質で、自分を立体的に理解する
「ストレングス・ファインダー」は、直感的な質問に答えていくだけで自分の思考や行動の傾向が明らかになり、34の資質のうち自分のトップ5の資質を教えてくれます。
実は、私も以前にこのテストを受けたことがあります。その時の上位資質の1つに「アレンジ」がありました。この資質に関して、この本では次のように述べています。
あなたは指揮者です。たくさんの要素を含む複雑な状況に直面すると、それらを最も生産性の高い組み合わせに調整したと確信するまで何度も並び替えを繰り返し、すべての要素を自分で管理することを楽しみます。
(『さあ、才能に目覚めよう 新版』 34ページ)
つまり、複数の要素を適切に組み合わせる資質を指します。振り返ってみると、学生時代から勉強そのものよりも、勉強のスケジュールを組み立てる方が好きでしたし、旅行でも最適な行程を組むことに楽しさを感じてきました。こうした行動は自分にとっては自然なものでしたが、言語化されることで1つの強みとして認識できるようになりました。
このように、強みは自分にとって当たり前すぎて気づきにくいものです。だからこそ、客観的に可視化することに意味があります。マネジャー層の方であれば、上位の資質には、「戦略性」や「最上志向」、「目標志向」などがあるかもしれません。これらの資質について詳しくは、TOPPOINTライブラリー収録の要約をご覧ください。
チームは「強みの掛け合わせ」で強くなる
このテストの結果をチームで活かす際、注意したいのは、これらの資質は1つだけでその人を定義するものではないという点です。人は複数の資質の組み合わせによって成り立っています。
「戦略性」や「最上志向」「目標志向」といったリーダー的な資質が強い人もいれば、「共感性」や「調和性」などコミュニケーションに強みを持つ人もいます。どれが優れているというわけではなく、それぞれの組み合わせが独自の才能を生み出します。
「ストレングス・ファインダー」のコーチング資格を持つ訳者の古屋博子氏は、本書のあとがきで次のようにアドバイスします。
「あなたは○○の資質が高いから××だね」(中略)といったレッテル貼りをしてしまうと、その後に待っているのは相手からの反発です。自分勝手なプロファイリングで相手を「こういう人だ」と決めつけたり押しつけたりするのはやめましょう。
(『さあ、才能に目覚めよう 新版』 219~220ページ)
「ストレングス・ファインダー」は、マネジャー層にとって個人の理解だけでなく、チームづくりにも役立ちます。メンバーそれぞれの資質がわかれば、役割分担がしやすくなり、コミュニケーションの精度も高まります。
さらに、誰にどの仕事を任せるべきか、どのような言葉がけが適切かといった判断がしやすくなることで、チーム全体のパフォーマンス向上にもつながります。
私自身も、過去の職場でこの考え方を取り入れ、チーム編成の際に自分に足りない資質を持つメンバーを意識して選んだり、相手が持つ資質に合わせたコミュニケーションを心がけたりしてきました。その結果、業務が円滑に進む場面が増えたと感じています。
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キャリアを考える際、「何をできるようになるべきか」から発想することが多いかもしれません。しかし本書は、「すでに持っている強み」を起点に考えることの重要性を教えてくれます。
強みは、努力が成果につながりやすい領域です。だからこそ、変化の多い新年度は、自分の資質を見つめ直す良い機会といえるでしょう。また、このテストの結果をもとに、チーム内で会話をすることは、お互いの資質を客観的に理解することにつながり、風通しのよい環境づくりに役立ちそうです。
なお、『さあ、才能に目覚めよう』の巻末には、「ストレングス・ファインダー」のテストを受けることのできるアクセスコードがついています。自分の強みを言語化したい方、チームの力を高めたい方は、ぜひ本書を購入して、テストを受けてみてはいかがでしょうか。自分では気づいていなかった可能性が、見えてくるかもしれません。
(編集部・福尾)
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「編集部員が選ぶ今週のPick Up本」は、日々多くのビジネス書を読み込み、その内容を要約している編集部員が、これまでに『TOPPOINT』に掲載した本の中から「いま改めてお薦めしたい本」「再読したい名著」をPick Upし、独自の視点から読みどころを紹介するコーナーです。この記事にご興味を持たれた方は、ぜひその本をご購入のうえ通読されることをお薦めします。きっと、あなたにとって“一読の価値ある本”となることでしょう。このコーナーが、読者の皆さまと良書との出合いのきっかけとなれば幸いです。
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