
今日は「招き猫の日」
9月29日は「招き猫の日」。招き猫の愛好家団体である、日本招猫倶楽部が制定しました。招き猫は「福を招く」とされていることから、9と29を「来る福」(くるふく)と読む語呂合わせで、この日になったようです。
日本招猫倶楽部のホームページによれば、一般的に右手を挙げた招き猫は「お金」を、左手を挙げた招き猫は「人やお客」を招くとのこと。縁起物であり、その造形のかわいさも相まって、近年では海外からの人気も高いそうです。
ビジネスパーソンであれば、招き猫に何を招いてほしいでしょうか? お金はもちろんかもしれませんが、経営者やリーダーの立場にある人ならば、危機を乗り越え、チャンスをつかむ「運」を招いてほしいと思うのではないでしょうか。
強運は誰もが身につけられる力
そこで今回は、招き猫に頼らずとも、自らが「運を招く存在」になることができる秘訣を説いた本をご紹介します。『運気を引き寄せるリーダー 七つの心得 危機を好機に変える力とは』(田坂広志 著/光文社 刊)です。
優れた経営者は、「運が強い」といわれます。しかし、そうした強運は「選ばれし人」だけのものではありません。逆境を追い風に変え、組織に強運を呼び込む力は、誰もが意識的な努力で身につけることができる、と著者の田坂広志氏は言います。そして本書では、「運気を引き寄せる力」の修得法を、7つの「心得」にまとめて解説しています。
「無邪気」な心が運気を引き寄せる
その第1の心得とは、次のようなものです。
第1の心得 目の前の危機や逆境を、「絶対肯定の想念」で見つめる
(『運気を引き寄せるリーダー 七つの心得』 52ページ)
ここで示されている「絶対肯定の想念」とはどのようなものでしょうか? 著者は「ポジティブしかない」と考える状態のことであると述べています。また、この状態を「無邪気」とも表現しています。
「無邪気」な人間といえば、「子ども」でしょう。子どもには一般的に、ネガティブな想念がありません。しかし、大人になると、「ポジティブ」と「ネガティブ」といったように、世界を2つに分けて、一方を良い、一方を悪いと判断するようになります。
そうなれば、例えば心の中に「成功」を思えば、無意識のうちに「失敗」という対極の想念が浮かぶようになる、と著者はいいます。
この問題を超えるにはどうすればいいのか? それは、「無邪気さ」を失わないことです。
世の中を見渡すと、魅力的なビジョンや目標を語り、夢や志を語りながら、それを実現していく経営者やリーダーがいるが、こうした経営者やリーダーは、必ずと言って良いほど、「無邪気な人格」を持っている。
(『運気を引き寄せるリーダー 七つの心得』 58ページ)
この一文を読むと、私には本田宗一郎氏や、孫正義氏の顔が浮かんできます。皆さまはいかがでしょうか。著者は、こうした「無邪気な人格」が、「絶対肯定の想念」を生み出し、それが「良い運気」を引き寄せる、と語っています。
リーダーの無意識はメンバーに伝わる
先ほどの心得は、リーダーの心の持ちようを述べたものでした。一方、部下や同僚などに対して、注意すべき点について触れた心得もあります。それが「第4の心得」です。
第4の心得 リーダーの無意識はメンバーの無意識に伝わることを覚悟する
(『運気を引き寄せるリーダー 七つの心得』 132ページ)
第1の心得で述べた、「絶対肯定の想念」でリーダーや経営者の心が満たされているのであれば、その無意識がメンバーたちにも伝わり、彼らの運気も自然と高まっていく、と著者は説きます。
では、どうやって「無意識」が伝わるのでしょうか。ここで重要となるのが、リーダーや経営者がメンバーに向ける表情やしぐさ、態度といった「非言語的コミュニケーション」です。
著者によれば、言語的コミュニケーション、すなわち言葉でのやりとりで伝わるメッセージは2割、非言語コミュニケーションで伝わるメッセージは8割といいます。そして、無意識は非言語的コミュニケーションによって強く伝わってしまうそうです。
そのため、もしリーダーや経営者が「絶対肯定の想念」を持たず、不安や心配事を抱えたままメンバーにコミュニケーションをとってしまうと、そのネガティブな気持ちが彼らにも伝わってしまうかもしれません。
リーダーや経営者がいくら景気のいい話や壮大なビジョンを語っても、目が泳いでいたり、声が震えていたり、落ち着きがなかったりすれば、メンバーがその言葉をそのまま信じて頑張ろう、という気にはなれないでしょう。
メンバーへの影響を考えると、上に立つ者が「絶対肯定の想念」を持つことの大切さがよくわかります。
*
『運気を引き寄せるリーダー 七つの心得』では、上記の他に5つの「運気を引き寄せる心得」が紹介されています。詳しくは本書をお読みください。「招き猫の日」にあたる今日、自分自身が“福を招く存在”になるために、本書の言葉に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
なお、本書の著者である田坂広志氏は、ビジネス書のベストセラー、ロングセラーを数多く執筆されており、「TOPPOINTライブラリー」でも名著の数々をご紹介しています。本書に興味を持たれた方は、他の著作もご覧いただければ幸いです。
(編集部・小村)
* * *
「編集部員が選ぶ今週のPick Up本」は、日々多くのビジネス書を読み込み、その内容を要約している編集部員が、これまでに『TOPPOINT』に掲載した本の中から「いま改めてお薦めしたい本」「再読したい名著」をPick Upし、独自の視点から読みどころを紹介するコーナーです。この記事にご興味を持たれた方は、ぜひその本をご購入のうえ通読されることをお薦めします。きっと、あなたにとって“一読の価値ある本”となることでしょう。このコーナーが、読者の皆さまと良書との出合いのきっかけとなれば幸いです。