「今週のPick Up本」は、おかげさまで100回目を迎えました。それにちなみ、今回は書名に「100」が入っている本をご紹介します。
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先日、「TOPPOINT大賞受賞書籍フェア」が開催されている、北海道や東北の書店を往訪するために飛行機を利用しました。合計3便、それぞれ異なる航空会社を利用したのですが、どの会社のCA(キャビン・アテンダント)の方も笑顔で落ち着いた対応をされており、乗客としてとても頼もしく感じられました。
搭乗時には遭遇しませんでしたが、無理難題をふっかけてくる乗客もいると聞きます。また、空の上での急なトラブルもあるでしょう。そんな状況にも冷静に対処されるCAの方々は、強いメンタルを持っているのだろう、と想像します。
メンタルを強くすることは、陸で働くビジネスパーソンにとっても重要です。仕事や人間関係において、「もっとメンタルが強ければ」と思っている人は少なくないでしょう。
そこで今回は、CAの方々が実践する「メンタルを整える方法」を解説した良書をご紹介します。2021年下半期TOPPOINT大賞の第7位にも選ばれた、『どんなストレス、クレーム、理不尽にも負けない 一流のメンタル 100の習慣』(山本洋子 著/朝日新聞出版 刊)です。
著者の山本氏は、日本航空(JAL)で25年間CAを勤めた人物です。国際線のチーフパーサーとしてファーストクラスを担当、国内外のVIPと接するとともに、教官として約1000人の新人CAを育成してきました。
そんな著者も、チーフパーサーに就いた当初は、華やかに思える仕事の裏で人間関係のストレスとプレッシャーに押し潰されそうになっていたといいます。しかし、先輩CAやファーストクラスで出会った一流のビジネスパーソンを通じて、徐々に「一流のメンタル=常に心と体を整える習慣を身につけること」を修得することができたそうです。
著者によれば、心を整えるスキルは「ビジネススキル」の1つであるといいます。
「心を整えるスキル」は、パソコンを操作したり、資料を作成したりすることと同様の「ビジネススキル」です。普段から、自分の心を整える習慣や行動、ものの見方を心がけることで、ストレスを抱えたり、困難にぶつかったときに、心が折れることなく、また折れかかってもしなやかに回復できるようになります。
(『一流のメンタル 100の習慣』 19ページ)
私の感覚からすると、パソコンを操作するようなスキルと、心を整えるスキルの身につけ方は異なり、後者の方がより難しいように思っていました。しかし、他のビジネススキルと同じく、普段からの習慣によって「心を整えるスキル」も身につけられる、と説く著者の言葉は、私の気を楽にしてくれました。
では、一流のメンタルをつくる習慣には、どのようなものがあるのでしょうか。著者はその基本の1つとして、「鈍感さ」を挙げています。繊細な方がよいのではないかと思いますが、著者は細かいことに気がつき過ぎると、相手も気づかないような些細なことまで指摘してしまいかねないと指摘し、次のようにいいます。
実は、仕事力が高い人ほど、“顔で笑って、心で見ぬふり”ができる人です。ただの鈍感な人ではありません。心でキチンと人の気持ちやその場の状況をわかったうえで、見ないふりができる。これが「鈍感さ」を発揮できる人なのです。
(『一流のメンタル 100の習慣』21ページ)
あれもこれも完璧にこなさなければ…と考えていると、同僚の小さなミスや、上司の理不尽な指令によってメンタルが傷つけられてしまいます。そんな時は「これくらいのミスならまあいいか」「上司は自分が間違っていたのに気づいているけれども、表に出したくないんだな」などと理解して、「笑顔で」対応する。こうした「鈍感さ」を持つことを習慣にできれば、仕事で起こる様々な困難にも対応することができるでしょう。
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また著者は、メンタルを強くするためには「礼節」 ―― 礼儀と節度をわきまえることが大切であるといいます。それはなぜでしょうか。著者はこう語ります。
「礼節」とは、単なる「礼儀」ではなく、相手に対する敬意と思いやりの心が伴った行き過ぎでない礼儀のことです。礼儀と節度を兼ね備えた「礼節」をわきまえている人には、おのずと人が集まり、信頼を得ることができます。信頼感が増すと、自分に自信がもてるようになり、メンタルも強化されます。
(『一流のメンタル 100の習慣』63ページ)
本書では、「礼節」をわきまえた振る舞いとはどのようなものか、著者がファーストクラスで出会ったビジネスパーソンの事例を交えて解説しています。
その1つに、「超一流のビジネスパーソンほど、誰に対しても分け隔てなく「丁寧で正確な敬語」を使っている」ことを挙げています。
超一流と言われるビジネスパーソンは、言葉遣いを大切にします。相手が年下でも、利害関係のない間柄でも、初対面の人に対しても、誰に対しても、丁寧で正確な敬語を遣って話をします。人を見て、言葉を使い分けるようなことはしないのです。正しい敬語を遣い、言葉遣いが丁寧な人は、人からの信頼も厚く、一目置かれる存在になります。
(『一流のメンタル 100の習慣』79ページ)
実際、本書によると、ファーストクラスに乗っているほとんどの人は「手の空いたときでいいので、お水を一杯いただけますか?」というような、丁寧な話し方をするといいます。
敬語というと難しく感じられますが、部下や同僚にも敬意を忘れず、です・ます調で丁寧に話しかけることを心がけるだけでもよいでしょう。そうした習慣を身につけることで相手からの信頼を得られ、メンタルも強くなるのではないでしょうか。
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『一流のメンタル 100の習慣』が説く習慣の数々は、若手社員から管理職、経営者に至るまで、身につけておいて損はないものばかりです。
4月から1カ月が経過し、ゴールデンウィークも終わりました。4月から新しい部署や職場、役職で働くようになった人にとっては、これからが業務の本番というところでしょう。
慣れない業務の中で、仕事や人間関係につまずいている人もいるかもしれません。そんな方々にはぜひ本書をお読みいただき、メンタルを整える助けとしていただければと思います。
(編集部・小村)
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「編集部員が選ぶ今週のPick Up本」は、日々多くのビジネス書を読み込み、その内容を要約している編集部員が、これまでに『TOPPOINT』に掲載した本の中から「いま改めてお薦めしたい本」「再読したい名著」をPick Upし、独自の視点から読みどころを紹介するコーナーです。この記事にご興味を持たれた方は、ぜひその本をご購入のうえ通読されることをお薦めします。きっと、あなたにとって“一読の価値ある本”となることでしょう。このコーナーが、読者の皆さまと良書との出合いのきっかけとなれば幸いです。
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