2025年7月号掲載
世界最高の質問術 一流のビジネスリーダー45人が実践する人を動かす「問いかけ」の極意
Original Title :Leading with Questions:How Leaders Discover Powerful Answers by Knowing How and What to Ask--3rd Edition (2023年刊)
著者紹介
概要
“質問”には、人や組織を大きく成長させる効果がある! リーダー育成に携わる著者らが、長年にわたる研究と実践から導き出した、質問の技法を伝授。部下の能力を引き出す、会議を活性化させる、チーム内の対立に対処する…。リーダーが身につけるべき質問術を様々な場面に即して説いた、実践的な1冊となっている。
要約
いい質問をせよ
世の賢いリーダーたちは、メンバーの意欲向上や、チームワークの改善、顧客との関係の構築に、質問を使っている。成功している有能なリーダーたちは、質問をしたり、されたりするための環境を自ら作り出しているのだ。
組織が成功できるかどうかは、学習する組織を築けるかどうかにかかっている。そして近年、そのことに気づくリーダーが増えている。学習する組織とは、変化する環境にすばやく適応できる組織だ。このような組織は、質問を奨励する文化がないところには決して生まれない。
今日、リーダー1人ですべてを知ることは不可能だし、そうすることは自身のためにも組織のためにもならない。それよりもリーダーが質問をして、相手から行動と答えを引き出すことが重要だ。
では、どんな質問をすればいいのだろうか?
能力を引き出す質問と抑圧する質問
いざ質問をしても、思い通りにいかず、かえって面倒を引き起こすことがある。これは、1つには、間違った質問、つまり相手の能力を抑圧する質問をするせいだ。例えば ――
- ・どうして計画より遅れているのか。
- ・どうしてそんなこともわからないのか。
このような質問をすれば、相手は自尊心を損なわれ、問題のことでくよくよしやすくなる。部下には能力を引き出す質問、つまり自分で考えさせ、自分で答えを見つけさせる質問をすべきだ。それは、例えば次のようなものである。
- ・現段階で、この計画をどのように感じているか。
- ・今後、この計画をどのように進めていきたいか。
いい質問とは
では、いい質問とはどういうものか。これには1つの答えがあるわけではない。とはいえ、いい質問の恩恵を受けた経験がある人なら、いい質問には次のような特徴があることに同意するだろう。
- ・重要なことに関心を向けさせる。
- ・先入観に目を向けさせ、なぜ自分がそうしているのかを考えさせる。
- ・前向きで、力強い行動を促す。
いい質問は、無私なものであり、質問者の賢さを見せつけようとか、質問者に都合のいい情報や反応を引き出そうとかいう意図を伴わない。普通は協力的なものであり、洞察を目指すものである。
質問をきっかけに、熟考や学びが深まるのがいい質問だ。好奇心にあふれたリーダーは、議題などがない非公式の話し合いをうまく活用する。そして「どんなことを考えているか、少し聞かせてくれないか」といった質問で話し合いを始める。
ゆるさの威力
次の2つの質問を比べてほしい。
- ①これを修正するために何をすべきか。
- ②これを修正するために何ができるか。
違いは何か。そう、①では「べき」が使われ、②では「できる」が使われているのだ。