2023年11月号掲載
自分の能力が変わるカリフォルニア大学バークレー校超人気の授業
Original Title :BECOMING A CHANGEMAKER:An Actionable, Inclusive Guide to Leading Positive Change at Any Level (2022年刊)
著者紹介
概要
目まぐるしく移り変わる現代社会。今日、リーダーに欠かせないのが、「チェンジメーカー」としての資質である。起きつつある変化に主体的に関わり、望む方向へ導く。それが、不確実な時代における生存戦略だ。本書は、その考え方と方法をわかりやすく説く。伝授するのは、世界屈指の大学で“難局突破人材”を育てる、人気教授。
要約
チェンジメーカーになる
リーダーが成功するためには、何が必要か?
それは、実務的な能力ではない。「チェンジメーカー」としての資質だ。
つまり、変化を起こすために必要な考え方、そして、行動力、勇気、情熱、粘り強さである。この資質は、経歴や場所を問わず、誰もが学べ、実践できるものだ。
激変する世界の中で
激変する社会に私たちが対処するには、自らの手で道を切り開き、変化を利用してチャンスを見いださなければならない。
ただしその前に、まずは「変化そのもの」を理解しなければならない。今日の変化には2つの重要な側面がある。変化は現在進行形で起きていることと、変化に対処するのは難しいということだ。
数世紀前まで、ある人間が生まれてから死ぬまでの間に、技術革新は1つ程度しか起こらなかった。だが時代は変わった。この5年だけを見ても、自動運転技術や遺伝子編集、人工知能などの分野で驚異的な進歩が見られた。
この急速な技術的成長は、1965年にインテル社の共同創業者ゴードン・ムーアが提唱した「ムーアの法則」で説明できる。この法則に従えば、コンピューターの計算能力は指数関数的に向上し、技術革新が加速することになる。
マーテックの法則:変化はゆっくり浸透する
ムーアの法則は、現代の変化の凄まじい速さを理解するのに役立つ。そして、この法則を補完するのが、なぜその速さについていくのが難しいかを説明する「マーテックの法則」だ。
テクノロジーは指数関数的に(加速度的に)変化する。だが、組織は対数的に(ゆっくりと)しか変化しない。そのため時間が経つにつれ、現実に起きている変化とそれに対応する私たちの能力とのギャップはどんどん広がっていく。
マーテックの法則は、世界で起きている変化と、それに対処しようとする人の能力とのギャップが広がっていることを示している。これは現代人に突きつけられた大きな課題といえるだろう。
しかしチェンジメーカーは、周りが困難と見なすものの中にチャンスを見いだす。チェンジメーカーのマインドセットがあれば、変化を自らが望む方向に導ける。チェンジメーカーとは、変化に主体的に関わることだ。それは、例えば、次のような考え方や行動である。