2022年8月号掲載

群衆心理

Original Title :Psychologie des foules (1895年刊)

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著者紹介

概要

国家の運命を決めるのは、君主ではなく「群衆」である ―― 。民主主義が進み、人々が歴史を動かし始めた19世紀末に著された、社会心理学の古典的名著だ。物事を簡単に信じ、感情的になりやすく、心象(イマージュ)で動く。そんな群衆の特徴を分析する。時を経た書だが、ネット炎上など、群衆心理がはびこる今日、その指摘は示唆に富む。

要約

群衆の時代

 近代の最高主権者、それは「群衆」である。これからの時代は、「群衆の時代」というべきものである。

 わずか1世紀前までは、諸国家の伝統的な政策や帝王たちの抗争が社会変化の主要な原因だった。

 だが今日では、君主の意向や、その抗争などはほとんど重きをなさない。群衆の声が優勢になったのである。群衆の声が、王侯に、採るべき行動を命ずる。国家の運命が決定されるのはもはや帝王の意見によるのではなくて、群衆の意向による。

群衆が持つ破壊的な力

 歴史の教えるところによると、社会の骨格である道義力がその効力を失った時に、まさに野蛮人ともいうべき凶暴な群衆によって、文明の決定的な瓦解が行われたのである。

 幾多の文明は、これまで少数の貴族的な知識人によって創造され、指導されてきたのであって、決して群衆のあずかり知るところではなかった。群衆は、単に破壊力しか持っていない。群衆が支配する時には、必ず混乱の相を呈する。

 およそ文明というもののうちには、規律や、本能的状態から理性的状態への移行や、将来に対する先見の明や、高度の教養などが含まれている。これらは、野蛮状態のままに放任されている群衆には、全く及びもつかない条件である。

 群衆は、もっぱら破壊的な力を持つだけである。文明の屋台骨が虫ばまれる時、群衆がそれを倒してしまう。群衆の役割が現われてくるのは、その時である。かくて一時は、多数者の盲目的な力が、歴史を動かす唯一の哲理となるのである。

群衆の心理を知ることの重要性

 宗教や帝国の建設者、優れた政治家は、群衆の心理を、本能的に、しばしば的確に知っていた。

 

群衆の特徴

 普通、群衆という言葉は、任意の個人の集合を指す。しかし、心理学の観点からは、群衆という言葉は、全く別の意味をおびる。

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