2021年6月号掲載

職場の「感情」論

マネジメント組織・人事コミュニケーション・心理学
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著者紹介

概要

コロナ禍に伴いリモートワークが広がっている。リモートワークには、メリットもあるがデメリットもある。相手の気持ちがわかりにくく、信頼関係が壊れやすいのだ。こうした「感情」の問題は従来から職場にあったが、リモートワークで明確になった。職場の良し悪しを左右するこの感情について、各種の研究成果を交え説く。

要約

リモートワークで浮き彫りになる職場の問題

 新型コロナウイルスの蔓延による外出自粛要請の中で、在宅勤務 ―― リモートワークが進んだ。

 リモートワークには、メリットとデメリットがある。開始から2、3カ月の間は、多くの人がメリットを感じたようだ。例えば、通勤の苦痛から逃れ、誰にも邪魔されず、仕事に集中できるなど。

 しかし、期間が長引くにつれて、徐々にデメリットの面がクローズアップされていった。

コミュニケーション上の問題

 リモートワークによって、具体的にどのような問題が発生しているのか。

 一橋大学イノベーション研究センターの調査によると、在宅勤務が進む中で、「仕事上でのストレスを抱える従業員が増えた」と約60%の企業が回答した。「従業員への意思伝達が難しくなった」「従業員同士の意思疎通が難しくなった」も共に50%を超えた。

 他の調査でテレワーク実施者500名に、不安や課題について聞いたところ、「非対面のやりとりは、相手の気持ちがわかりにくく不安」との回答が37.4%。「上司や同僚から仕事をさぼっていると思われていないか不安」が28.4%だった。

 また、「業務上の指示ややりとりに支障がある」が38.6%、「上司とのやりとり」が減ったという回答の割合は45.2%で、やはりコミュニケーション上の問題が多く挙げられる。

会議が「仕事の話」だけになる弊害

 コミュニケーション上の問題に関して、非常に多く聞くことの1つが、「雑談」の減少である。

 ウェブ会議だと、仕事の話しかしなくなる。効率面からは悪くないかもしれないが、気楽な相談というものがなくなる。時間が設定され、アジェンダ(議事)が決まっている中では、「ちょっといいですか?」と、気楽に相談できない。

 実際には、「ちょっとした相談事」の中に重要事や、トラブルの芽などがかなり含まれている。ちょっとした対話や即席のミーティングの中から、新しいアイデアや問題解決の糸口が出てくることも多い。

雑談がなくなると離職が増える

 雑談はまた、リテンション(人材の定着)の指標でもある。リクルートキャリアが、離職意向に影響を及ぼす要素を調べたところ、離職の可能性について「まったくそう思わない」「どちらかといえばそう思わない」と回答した人には、「短時間でも上司と雑談している」傾向が見られたのだ(「中途入社後活躍調査」2019年)。

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