2021年5月号掲載

幸福について ―人生論―

Original Title :APHORISMEN ZUR LEBENSWEISHEIT

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著者紹介

概要

真の幸福とは何か。幸福な人生を過ごすには何が必要か ―― 。古から考察されてきたこのテーマについて、19世紀ドイツを代表する哲学者が論じた。古人の箴言などを引きつつ、風刺とユーモアの効いた筆致で人生の意義や幸福の本質を描きだす。現代社会を生きる我々にも多くの示唆を与えてくれる、人生論の古典的名著である。

要約

運勢の差を生じさせる3つのもの

 古代ギリシアの哲学者アリストテレースは、人生の財宝を3つの部類に分けた。「外的な財宝」「心の財宝」「肉体の財宝」である。

 そこで私は、この3という数だけを受け継いで、無常の人間の運勢に現われる差を生じさせるものが3つあることを示そうと思う。

①「人のあり方」

最も広い意味での品性、人柄、人物。この中には健康、力、美、気質、道徳的性格、知性などが含まれている。

②「人の有するもの」

あらゆる意味での所有物。

③「人の印象の与え方」

他人にどういう印象をいだかれるか、ということ。すなわち、人に対する他人の思惑であり、名誉と地位と名声とに分けられる。

「人のあり方」について

 1つ目の人のあり方とは、自然そのものが人間の間に設けた差である。こう言っただけでも、人間の幸不幸に対して及ぼす自然の影響が、後の2つから生じる影響よりも、はるかに本質的、根本的であろうということは、想像がつくはずである。

 精神の偉大さや、心情の偉大さというような真の人物上の利点に較べれば、地位や生まれ、富といった一切の利点は取るに足らないものだ。

 古代ギリシアの哲学者エピクーロスの一番弟子メトロドロスは、次のように指摘している。

 言うまでもなく、人間の幸福なあり方、人間の生き方全体にとって主要なものが、人間自身の中に存するもの、人間自身の内に起きるものだということは明らかである。ここにこそ、内心の快不快が宿っている。

 というのは、内心の快不快は、人間が感じたり考えたりする働きの結果だからである。これに反して外部にある一切のものは、間接的に内心の快不快に影響を及ぼすにすぎない。

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