2020年1月号掲載

アート思考 ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法

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著者紹介

概要

ビジネスの世界では、これまで論理的思考が重視されてきた。だが、先行きが不透明な今日、旧来の思考法は通用しない。求められるのは、既存の枠組みにとらわれないアーティストのような考え方。新しいことに挑戦し、クリエイティブな発想を展開する。それを可能にする「アート思考」を、東京藝大の美術館長が紹介する。

要約

すべては「問い」から始まる

 ビジネスの世界では、これまで論理的思考や批判的思考が重視されてきた。だが、それだけでは解決できない問題が増え続けている。

 例えば、資本主義のあり方や環境破壊、人種差別や民族紛争など、社会を覆う問題は山積みだ。これまで以上に、広い視野が求められている。

 そこで、単なる問題解決ではなく、アーティストのように思考し、革新的な発想を得るための方法を紹介しよう。それは、旧来の思考とは異なる「アート思考」を身につけるための方法論だ。

洞察力とユニークな視点

 米国人アーティスト、ジェームズ・タレルは、「アーティストとは、答えを示すのではなく、問いを発する人である」と述べている。

 これからの時代に求められるのは、答えを引き出す力以上に、「正しい問いを立てることができる洞察力とユニークな視点」である。

 今後、人工知能やロボットが、私たちの働き方や生活を大きく変えていくだろう。そんな時代だからこそ、改めて人間のあり方を根本から考えて、将来に向けていかにあるべきかを構想してビジネスを組み立てていくことが求められている。

ビジネスパーソンがアートを学ぶ価値はどこに

 アートやアーティストから学ぶことは数多いが、基本的には、ビジネスとアートは異なる。

 ビジネスでは、「儲かることが成功」である。しかし、アートに求められるのは経済的・社会的成功ではなく、自己探求をし続けることだ。社会に新たな価値を提案し、歴史に残るような価値を残していけるかどうかという姿勢を極限まで追求することが、アーティストの願望なのである。

 それは、人間社会の課題が広く、深くなっていく時代において、ビジネスの課題の立て方(ビジネスモデル)も広く、深いものでないと、息の長いビジネスとして存続できないと思われるからだ。

イノベーティブな発想とアート

 ビジネスパーソンが、アーティストの創造性やものの見方を学んだからといって、すぐに彼らのような感性や思考法が身につくわけではない。だが、行き詰まった時、常識的ではない別の視点で考えたい時に、アートはきっと役に立つ。

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