2018年10月号掲載

影響力の武器 戦略編 小さな工夫が生み出す大きな効果

Original Title :THE SMALL BIG

コミュニケーション・心理学スキル・能力開発

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著者紹介

概要

副題「小さな工夫が生み出す大きな効果」。社会心理学の名著『影響力の武器』に、新たな科学的知見を加えた書である。約束を守ってもらうのに有効な方法とは? 効果的なアピールの仕方とは? 生産性を高める上手な親切とは? 説得の科学に基づく、物事を好転させる様々な技術を示す。仕事や生活に役立つヒントが満載だ!

要約

小さな工夫で大きな効果

 他の人を説得し、何かをさせなくてはいけない場面は、日々の生活の中に数限りなくある。そんな時、説得のやり方を少し工夫するだけで、他者の行動は劇的に変わる ―― 。

納税期限を守ってもらうための簡単な工夫

 イギリス国税庁は、ある問題を抱えていた。税金を滞納する人が、非常に多かったのだ。

 そこで滞納者に対して、ある手法を試した。従来の督促状の文面に、ある一文を追加したのだ。この小さな工夫で、滞納金の86%が回収された。

 では、その一文には何が書かれていたのか。実は、単に大多数の国民は期限までに税金を納めているという事実だった。たったそれだけのことで、なぜ大勢の人が税金を納める気になったのか。

 答えは人間の行動をつかさどる根本原理の1つにあり、この原理を科学者は「社会的証明」(群衆による証拠)と呼ぶ。その意味は、人間の行動の大部分は周囲の人間の行動によって決定されている、というものだ。つまり、「皆がそうしている」から自分も同じようにする、のだ。

 人が「大勢の人に倣う」という行為に向かうのには、根本的な理由がある。それは人間に内在する単純でありながらも強力な、次の3つの欲求だ。

    • ①なるべく効率的に正しい判断をしたい
    • ②他者とつながり、承認されたい
    • ③自分のことを肯定的にとらえたい

 督促状に加えられた一文が大きな成果を上げたのは、この3つの欲求を同時に刺激したためだ。

 忙しい現代の生活では、「他の皆がやっていることをする」のが正しい判断を下すための効率的な方法になる。また、ほとんどの人がすでに行った行動に倣えば、その人たちから承認され、社会的なつながりをつくれる。さらに、3つ目の欲求も働いた。大多数の人が税金を納めていると知れば、税金を払っていない人は自分がたかり屋であるような気分になる。そしてこの時、大多数を真似て納税することが、「努めを果たしている個人」という自己イメージの回復に役立ったのだ。

約束を守ってもらうための小さな工夫

 ほとんどの人間の心には、以前に行ったコミットメント(特に自ら進んで行ったもの)と矛盾しない行動を取りたいという欲求が根づいている。

 そこで私たちは、保健センター3カ所で実験を行った。予約の電話をかけてきた患者に、日時が決まると予約の詳細を“復唱”するよう求めたのだ。すると、すっぽかしが3%減少した。

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