2016年8月号掲載

AI時代の勝者と敗者 機械に奪われる仕事、生き残る仕事

Original Title :ONLY HUMANS NEED APPLY

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著者紹介

概要

ここ数年、人工知能(AI)をはじめ、テクノロジーの進歩が目覚ましい。教師や弁護士、医者など、これまで人間にしかできないと思われていた仕事も、もはや機械の方が上を行く。そんなAI時代を見通し、どう対応すべきかを説いた書である。「機械との競争」に勝って、仕事を維持し、成功するための5つの選択肢が示される。

要約

人間の仕事をコンピュータが奪う?

 機械が、人間の仕事を奪ってしまうのではないか ―― 。人々はこうした不安を常に抱いてきたが、結果的にはいつも良い方向へ進んだ。

 自動化で仕事がなくなるという考え方は誤りである、ということを示す経済学の研究は多い。こうした研究によれば、生産性が上がれば、仕事は減るのではなく必ず増えるという。実際、技術革新によって多くの仕事が人間の手を離れたが、それと同時に新しい高次の仕事が生まれた。

 今日でも、オックスフォード大学の研究によれば、コンピュータ化によって近い将来、米国の47%の仕事がなくなるおそれがあるという。だが経済学者は、これも一時的な現象に過ぎないと主張している。

 だが、今回は事情が違うとしたらどうだろう?

 というのは、現在機械に置き換わりつつある仕事は、これまでの仕事とは種類が違うからだ。

 自動化は3つの段階に分類できる。

 第1の自動化では、機械が肉体的に辛い仕事から人間を解放した。次に第2の自動化が生まれた。その対象は退屈な仕事だ。銀行の窓口係や航空会社の予約係など、定型化されている仕事がコンピュータ化された。そのせいで職を失った人は多い。

 そして今、第3の自動化の時代が来ている。機械が知能を向上させ、私たちの一挙一動を見守るようになるのだ。今やコンピュータが人間より優れた判断を下せることは、様々な状況下で証明されている。この自動化で影響を受けるのは、医師や弁護士、会計士、教授など、これまで機械では置き換えられないと考えられてきた「知識労働者」である。そして、先進諸国の労働者の4分の1から半分が、知識労働者に相当する。

 知識労働者の仕事が自動化への道をたどっていることを示す証拠は多い。例えば ――

現在、基幹作業を担える自動システムがある

 自動化によって、人間の仕事が奪われる。それを示す最大の証拠は、現在すでに、基幹機能を担当する自動システムが存在することだ。

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