2015年7月号掲載

文明の衝突

Original Title :THE CLASH OF CIVILIZATIONS AND THE REMAKING OF WORLD ORDER

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著者紹介

概要

冷戦終結時、これで世界は平和に向かうと思った人は多いのではないか。だが、今も戦火はやまない。異なる文明を背景とするグループの対立が世界各地で続く。こうした現実を見ると、文明同士が衝突する要因を説いた本書の意義は今なお大きい。刊行から十数年。「世界の安全を守るには世界の多文化性を認めなくてはならない」、この言葉を改めて胸に刻みたい。

要約

世界政治の新時代

 冷戦後、歴史上初めて、世界政治が多極化し、多文明化した。

 人類の誕生以来、文明間の接触は断続的であるか、または皆無だった。やがて1500年頃、近代の幕開けとともに世界政治は多面的になり始めた。

 それから400年以上もの間、西欧の国家(英国、フランス、スペイン、ドイツ、合衆国など)は相互に影響しあってきた。同時に、西欧諸国は他の文明にまで領土を拡大し、征服して植民地化し、すべての異文明に決定的な影響を及ぼした。

 冷戦の間、世界政治は二極化して、世界は3つに分かれた。合衆国を先頭に豊かな民主主義社会からなるグループは、ソ連を中心とするやや貧しい共産主義社会のグループを相手に、イデオロギーや政治・経済面だけでなく、時には軍事面でも競争を続けてきた。

 その闘争の場となったのは、たいていこの2つの陣営の外の第三世界で、そこの国々は往々にして貧しく、政情が不安定だった。

今後は7~8つの主要文明の対立に

 1980年代に共産主義世界が崩壊し、冷戦は過去のものとなった。冷戦後の世界では、様々な民族の間の最も重要な違いは、イデオロギーや政治、経済ではなくなった。文化が違うのだ。

 民族も国家も、人間が直面する最も基本的な問いに答えようとしている。「我々はいったい何者なのか」と。そして、その問いに答えるため、人類がかつてその問いに答えてきたのと同じように、自分たちにとって最も重要な意味を持つものを頼りにする。人々は祖先や宗教、言語、歴史、価値観、習慣などに関連して自分たちを定義づける。

 人は自分が誰と異なっているか、また自分が誰と敵対しているかを知って初めて、自分が何者であるかを知るのである。

 すなわち、中華文明、日本文明、ヒンドゥー文明、イスラム文明、西欧文明、ロシア正教会文明、ラテンアメリカ文明、アフリカ文明である。

文化が分裂を生み、統合をうながす

 この新しい世界で最も重要かつ危険な対立は、社会の階層や貧富などをはじめとする経済的な身分の異なる者同士の間で起こるのではなく、異なる文化的な統一体に属する人々の間で起こる。

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