禅―壁を破る智慧

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著者紹介

概要

“逆境”に直面した時、人はどう考え、いかなる行動を取るべきか。臨済宗相国寺派管長の有馬賴底氏が、逆境においてしかるべき方向を指し示してくれる禅の教えを、自らの体験を交えつつ綴った。「逆境と順境は別々のものでなく1つのもの」「後悔は一瞬にとどめ、反省は3回すべし」等々、人生の壁を破り、より良い日常をつくるためのヒントの数々が示される。

要約

「逆境」において大切なこと

 生きていくことは楽ではない。人はいつも楽なことや幸せを求めているのに、反対に辛いことや困難なことの方が多いのが人生である。

 では、逆境という厳しい事態に直面した時、人はどう考え、いかなる行動を取るべきか。禅の多彩な智慧を借りながら、思うことを綴ってみたい。

人の本能には逆境を乗り越える力がある

 人は逆境ともいえる状況に巻き込まれた時、何を信じればいいだろうか? 自分に自信のある人は、自分の力を信じて這い上がろうとするだろうし、家族や周囲の人たちへの愛を信じている人は、それをよすがに奮起しようとするだろう。

 しかし、そんなものはないと何も信じられない人はどうすればいいだろうか。そういう人は例えば、雑草を思い浮かべてみるといいかもしれない。

 雑草は踏まれても踏まれても頭をもたげてくる。あのしぶとい強さはどこから来るのだろう。それは生命が本来持つ本能の強さだと思う。雑草に限らない。いかなる生命もその芯には、ひたすら生きようとする本能の強さを持っていると思う。

 自殺を考えるのは地球上の生命で人間だけだ。自然のもの全てには仏性が宿っているという〈山川草木悉皆成仏〉という言葉があるが、草も木も虫も魚も鳥も獣も全ては、一瞬、一瞬、その生命を完全燃焼させている。そこには、生命を自ら閉ざそうとするはからいなど微塵もない。

 人は言葉をもって考えることができるがゆえに、生き物としては致命的な弱さを抱えることになってしまった。だが、他の生き物と同じように、人は本能のレベルでは生命を前へ跳躍させていくしなやかな強さを持っている。つまり、いかなる逆境においても、人はそれを乗り越える力を本能の深いところに持っているはずなのだ。

 もし厳しい状況に陥るようなことがあれば、そのことを思い起こすといいだろう。

逆境は生きることの本質である

 人には絶対に免れることのできない4つの苦しみ、「生・老・病・死」があると仏教ではいう。

 人は何も逆境の時にだけ、辛くしんどいというわけではないのだ。生きることはそもそも苦しみの連続なのだ、ということを四苦は表している。

 そう考えると、実は逆境というのは生きることの本質だということに気づく。その意味で逆境は何よりも、生きることについて教えてくれる。

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