2012年7月号掲載
ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集
著者紹介
概要
「タルムード」。これは、ユダヤ人にとって人生の羅針盤となる書物で、生活全般の規範と、それに関する詳細な議論が記されている。そしてユダヤには、タルムードの教えを誰もが理解できるよう、様々な説話が今に伝わる。本書では、5000年もの間語り継がれてきた、この説話が説く成功哲学、サバイバルの知恵を、ユダヤ教に改宗した国際弁護士が読み解く。
要約
お金を引き寄せるユダヤ哲学
ユダヤの人々は、常にヘブライ聖書と「タルムード」を勉強している。
タルムードとは、古代ヘブライ語で「研究」「学習」を意味する言葉。記されている内容は、日常生活の慣習や紛争解決など、あらゆる事柄についての様々な規範とそれに関する議論である。
このタルムードの議論が理解できるように、ユダヤには膨大な説話が残されている。それらは、人生に起こり得るあらゆる問題を知り、柔軟に対処する術を身につけるための知恵の宝庫だ ―― 。
魔法のザクロ
あるところに3人兄弟が住んでいた。兄弟はそれぞれ10年間、各地で修行をすることにした。そして10年後、各自が見つけた最も不思議なものを持って、この家で会うことを誓い合った。
1番上の兄は東に行き、ある旅人から世界の隅々まで見える不思議なガラスのコップを買った。
2番目の兄は西に行った。そして、ある町で空飛ぶ絨毯を買った。
1番下の弟は南に行った。そこで、1本の不思議なザクロの木を見つけた。何が不思議かというと、木には花はいっぱい付いているのに、実は1つしか生っていない。そして、そのザクロの実を取ろうと手を差し出すと、掌にポタッと落ちてきた。
「これこそ世界で最も不思議なものだ。この木を持って帰ろう」。そう思ったとたんに、木はパッと消えてなくなってしまった。はっとして手の中を見ると、ザクロの実は消えずに残っている。
1番下の弟は、このザクロの実こそ不思議なものだと確信し、家に持ち帰った。
3兄弟は、各自が持ち帰ったものを見せ合った。
世界の隅々まで見渡せるガラスのコップで見ると、何とある国のお姫様が重病で寝ている姿が映った。傍らで王様が、「誰か治してくれる者はいないか」と嘆いている。